【2月8日 AFP】パキスタンの野党指導者ベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相の暗殺事件を調査していた英ロンドン警視庁(Scotland Yard)の調査チームは8日、元首相の死因は犯人が自爆した際の爆風によるもので銃撃によるものではないとの調査結果を発表した。

 事件は前年12月27日、北部ラワルピンディ(Rawalpindi)で開かれていた野党のパキスタン人民党(Pakistan People's PartyPPP)の選挙集会に出席したブット元首相が、演説を終えた後に発生した。

 調査チームは、すべての証拠を検証した結果、狙撃犯は1人で、ブット元首相に向けて数発発砲した後、自爆したと発表。この時の強烈な爆風でブット元首相は乗っていた車両の上部に頭を強打し、これが致命傷になったと結論付けた。

 調査はペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領の要請によるもの。科学調査などの専門調査官からなるロンドン警視庁の調査チームが1月にパキスタン入りし、2週間半を費やしてブット元首相暗殺事件の調査を行ってきた。

 しかし、現場検証や遺体回収はすでに不可能なうえ、遺族の要望でブット元首相の遺体の検死も行われておらず、犠牲者の身元特定作業もなかったことから、調査は容易ではなかったとされる。しかし、調査チームは、入手した証拠は爆風が死因だったと断定するのに十分なものだったとの見解を示した。

 一方、ブット元首相が総裁を務めていたパキスタン人民党広報はAFPに対し、ロンドン警視庁の調査結果には納得できないと述べ、元首相の死因は銃撃によるものだと主張している。(c)AFP