【2月5日 AFP】チャドで反政府勢力が首都ヌジャメナ(N'djamena)を制圧した2日、在留外国人の国外退避を監督しているフランス軍部隊と反政府勢力が、ヌジャメナ空港近くで銃撃を交わしていたことが仏軍によって明らかにされた。

 仏軍報道官Christophe Prazuck少佐の発表では、戦闘は「短く限定された接触」だった。反政府勢力側から仏軍部隊に対し発砲があったため、空港防衛の観点から「適切に対応した」という。反政府勢力の発砲が偶発的なものか、仏軍の空港防衛を試す目的だったかは定かでないという。

 チャドの動乱状態は、旧宗主国のフランスを微妙な立場に陥れた。フランスは現在、スーダンのダルフール(Darfur)紛争による避難民保護のため、欧州連合(EU)の平和維持部隊派遣の実現を目指しているが、一方で、チャドでの戦闘に巻き込まれることを回避しようとしている。仏軍は兵士1450人をチャドに駐留させているが、動乱発生後、外国人退避支援のためさらに150人を追加派遣した。

 フランスとチャドの軍事協定では、イドリス・デビ(Idriss Deby)チャド大統領の政権に対するフランスの後方支援や医療支援、情報提供などが含まれているが、直接的な軍事介入は対象となっていない。

 チャド政府は3日、反政府勢力を鎮圧したと発表したが、反政府勢力側の指導者は首都から一時的に撤退しただけだと述べた。首都の路上には、2日間にわたる戦闘で亡くなった者たちの遺体が大量に放置されているという。

 チャドに配備されているフランス軍のミラージュ(Mirage)戦闘機6機中2機は、3日には一時、ヌジャメナから撤退した。しかし、現在は首都に戻り、偵察飛行を再開したと報道官が報告した。(c)AFP