【2月4日 AFP】(2月5日 写真追加)イスラエルのネゲブ(Negev)砂漠地帯の街ディモナ(Dimona)のショッピングセンターで4日、複数犯による自爆テロが発生し、イスラエル人女性1人が死亡、少なくとも11人が負傷した。ディモナにはイスラエルがその詳細を明かしていない原子炉がある。

 犯行時間は現地時間午前10時半頃(日本時間17時半頃)。医療関係者らによると、1人目の自爆犯は爆発で死に、もう1人は爆発直後に警官に射殺された。現場からは不発だった爆発物を仕込んだベルトも発見された。

 イスラエル領内で自爆攻撃があったのは前年1月以降初めて。前年11月には米国で行われた中東和平国際会議でイスラエル、パレスチナ和平交渉が再開されている。

■ファタハ系武装組織の犯行か、ハマスが称賛

 同日、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長が率いるパレスチナ解放機構(PLO)の主流派ファタハ(Fatah)に緩い関連を持つファタハ系武装組織「アルアクサ殉教者旅団(al-Aqsa Martyrs Brigades)」と他の2つのグループが、共同犯行声明を発表した。
 
 ファタハと対立状態にあり、ガザ地区(Gaza Strip)を支配しているイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)も攻撃について「英雄的な行動」で「占領という罪に対する当然の反応」だと述べた。

 イスラエルのArye Mekel外務省広報官は「イスラエルは必要なあらゆる手段を講じて、テロリズムに対する戦いを継続する」と声明を発表した。

■境界壁との関連、エジプト経由のテロに情報機関が警告

 この爆発の約2週間前にはイスラエルによる封鎖が長引くガザ地区で、エジプトとの境界の壁が武装勢力に破壊され、生活物資が届かず困窮していた住民数万人がエジプト領内に流入する事態に発展した。

 イスラエル当局は、エジプトのシナイ半島(Sinai Peninsula)経由で全長250キロのイスラエル-エジプト国境から、パレスチナ武装勢力が侵入した可能性について懸念をあらわにしていた。

 ある政府高官によれば、国内治安情報機関シン・ベト(Shin Beth)の長官は3日、内閣に対しシナイ半島情勢について「イスラエルの安全保障の弱点となりつつある。テロ組織が(シナイ半島を通じて)何十人ものテロ活動家を送り込んできている」と報告していたという。(c)AFP/Yana Dlugy