【1月30日 AFP】マイケル・ムケージー(Michael Mukasey)米司法長官は29日、「ウォーターボーディング(水責めの一種)」は米中央情報局(CIA)の尋問手法として現在、許可されていないと明言した。しかし、30日に予定されている上院司法委員会では尋問手法の合法性一般に関する質問に応じない姿勢を明らかにした。

 米上院司法委員会でのムケージー長官の証言は30日に予定されている。同長官は昨年11月9日の就任以来、現行の尋問プログラム内でのCIAの尋問手法について説明を受けてきたと述べた。

 パトリック・レーヒー(Patrick Leahy)議員が委員長を務める司法委員会に宛てた書簡でムケージー長官は「同プログラム内で使用が現在許可されている手法は限られている。『水責め』がそれらの手法の中に含まれていないことを公表する権限をわたしは持っている」と前置きした上で、「水責めは現在のプログラムで使用されていないし、また使用されることはないだろう」と断じた。

 しかし、過去の水責めの使用については言及しなかった。さらにムケージー長官は「水責めが許可される状況もありうる」という見解も示唆したが、特定の必要性や状況の存在を論じることなくして、水責めという手法に関する米国法下での合法性について、委員会からの質問に答えるつもりはないと明かした。

 米同時多発テロ後に新設された初代国家情報長官を2005-07年まで務めたジョン・ネグロポンテ(John Negroponte)米国務副長官は、28日発行の米政治誌「ナショナルジャーナル(National Journal)」のインタビューで、かつて米国が尋問手法として水責めを使用したことがあることを認めた。しかし、現在は採用していないとも述べた。

 CIAがテロ容疑者の尋問を撮影したビデオテープを廃棄していた事実を、昨年12月にCIA長官が認めたことを受け、ムケージー司法長官は今月、本格捜査を開始したと発表した。(c)AFP/Paul Handley