【12月30日 AFP】(12月30日 一部更新)パキスタンで暗殺された故ベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相の死因をめぐり、同国内で激しい論争となる中、同国の政治情勢は、1月8日に予定される総選挙にブット氏が総裁を務めた野党パキスタン人民党(Pakistan People's PartyPPP)が参加するか否かにかかる微妙な状況となっている。

 ブット氏の夫やPPP幹部らは30日にブット氏の故郷である同国南部のシンド(Sindh)州Nauderoのブット氏の邸宅で会合を開き、総選挙への参加の是非とともに、後継の同党指導者を指名すると予想されている。会合では息子のビラワル・ブット(Bilawal Butto)氏(19)がブット氏の遺言を読み上げることになっている。ビラワル氏はまだ学生だが、ブット氏の後継者になるとの予測もある。

 しかし、ブット氏の側近Sherry Rehman氏はAFPの取材に対し、ブット氏の子息が後継となることは少なくとも現段階では「可能性は低い」と答えた。「彼はパキスタン政界入りを熱心には望んでいない。彼は若く、学業に戻るつもりだ。まだ20歳にもなっていない」(Rehman氏)

 一方でほかの党幹部は、ブット氏の子息が後継者として最も有望だと主張している。子息が選ばれた場合には、英オックスフォード大学(Oxford University)を卒業するまで、ブット氏の夫アシフ・アリ・ザルダリ(Asif Ali Zardari)氏が率いる諮問委員会が党を主導するとしている。

 政治評論家のShafqat Mahmoodは「PPPがブット氏の遺志に背くことはほとんど不可能だろう」という。PPPの党会合により、1月8日の総選挙実施が左右されるほか、同党がブット氏暗殺に関する調査をどう考えているかについても結論が出されるだろうと同氏は予測する。「そこでの決定は、世界が受け入れる決定となるだろう」 

 30日には営業を再開する店舗も見られ、市民生活は徐々に落ち着きを取り戻し始めているが、石油をはじめとする生活必需品の供給は依然として滞っている。(c)AFP/Hasan Mansoor