【12月28日 AFP】パキスタンのベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相の暗殺を受けパキスタン各地で暴動が発生し、治安当局発表によると、28日までに19人が死亡した。同国政府は同日、暴動鎮圧のためとして治安部隊に発砲許可を与えた。

 暴動は、ブット元首相が暗殺された27日午後から発生。ブット氏の地元の南部シンド(Sindh)州などで、通りに繰り出した集団が建物や車両への放火、事務所などの襲撃、商店の略奪、道路封鎖などを行っているという。

 治安当局者がAFP記者に語ったところによると、死者の内訳はシンド州で18人、中部パンジャブ(Punjab)州で1人となっている。シンド州の死亡者には、27日にカラチ(Karachi)で銃撃を受け死亡した警察官1人が含まれる。

 こうした事態をうけパキスタン政府は28日、暴動の拡大を阻止するためカラチの治安部隊に発砲許可を与えたことを明らかにした。

 これにより、治安部隊は反政府的行為、政府所有建築物への襲撃、放火行為などを発見した場合は、その場で当事者に対し発砲することができる。

 また政府軍は、ブット元首相の葬儀が営まれるシンド州南部を中心に、同州全域に治安部隊1万6000人を配置し、そのうち1万人がカラチに配置されていることも明らかにした。

 パキスタンで首相を2回務めた最大野党パキスタン人民党(PPP)議会派総裁のブット元首相は、北部ラワルピンディ(Rawalpindi)で27日、パキスタン人民党の集会で演説後、車で会場を後にしようとしたところを銃撃され死亡した。犯人はその場で自爆した。(c)AFP