【12月18日 AFP】(一部更新)トルコ軍は18日朝、武装組織クルド労働者党(Kurdistan Workers' PartyPKK)掃討のためイラク北部に進攻した。イラクのクルド人民兵組織ペシュメルガ(Peshmerga)の報道官が明らかにした。

 イラク北部のクルド人自治区政府の報道官によると国境を越えたのは約300人で、国境内3キロまで進攻したという。トルコ軍の地上進攻が伝えられたのは、クルド人問題をめぐってトルコ政府とイラク政府の緊張が高まった10月以来初めて。

 ペシュメルガの報道官は「(トルコ軍が)進攻したのは無人地帯で、イラク軍やペシュメルガの部隊はいない」と話した。PKKの司令官も「午前4時にトルコ軍歩兵隊が空からの支援を受け、イラク国境を越えた」と述べた。

 クルド自治政府のマスード・バルザニ(Massud Barzani)議長率いるクルド民主党(KDP)系のテレビ局は、トルコ軍がイラク国内のSeed Qanと呼ばれる地域から数キロ地点に進攻し、Khaya RashBunwaqJanarouqKeliroshの村に到達してそこを基地にしたと報じた。

 トルコの首都アンカラ(Ankara)の軍高官は取材に対し、軍が越境したとの確認は取れていないと話している。

 アブドラ・ギュル(Abdullah Gul)トルコ大統領は中部コンヤ(Konya)で、軍の越境進攻について「テロリズムと闘うために必要なことを行っている」と述べた。CNNトルコが報じた。

 これに先立ちトルコ軍は16日、イラク国境地帯を拠点とするPKK掃討のため、この地域の複数の村を空爆している。軍参謀総長のヤシャル・ビュユクアヌト(Yasar Buyukanit)将軍は同日、米政府が情報を提供し、イラク北部の領空を開放してくれたと述べ、米軍が攻撃を容認していたことを明らかにした。

 米国務省は一連の攻撃について、これまでのイラク北部空爆の一環だとしたが、トルコ政府への支援の内容については否定も肯定もしていない。(c)AFP/Abdel Hamid Zebari