【12月13日 AFP】旧日本軍が当時の中国の首都・南京(Nanjing)で虐殺を行ったとされる南京事件から70年に当たる13日、現地の「南京大虐殺記念館(Nanjing Massacre Memorial Hall)」に数千人が集い、犠牲者の追悼式典が行われた。

 平和を象徴する白いハトが空に放たれると、職員らにより控えめに式典が開始された。同記念館は、2002年から2006年にかけて日中外交が凍結している間に聞こえるようになった扇情的な論調を回避しようと、この日に合わせて拡張され再び開館された。

 南京は1937年12月13日、旧日本軍に占領された。中国の国営各紙は13日、中国政府が犠牲者30万人とする虐殺の苦痛を振り返る記事を一斉に掲載した。一方、今年は日中関係が修復されつつある中で70周年を迎え、中国政府は戦時中の旧日本軍の行為に対する激しい論調を緩めたとみられる。

 アジアの2大国である両国の関係は、領土問題や戦時中の歴史認識をめぐり対立しており、今後も不安定な状態が続くとみられるが、中国側は間違いなく関係改善を欲していると、南京にある江蘇社会科学院(Jiangsu Academy of Social Science)のWang Weixing教授(歴史学)は説明する。同教授によると「今日の記念式典は憎悪を深めることを続けるためのものではない。まさにその反対で、理解のためのものだ」という。

 一方、外国の読者に中国政府の見解を伝える際に主な媒体とされる英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)は社説で、「日本による過去の残虐行為がいまだ完全に認識されていないことに依然失望する」としながら、しかし「われわれは中国人に対し、彼らの隣人である日本人への敵意を促そうという意図はない」と論じた。(c)AFP/Benjamin Morgan