【11月29日 AFP】(30日写真追加)フィリピンのマニラ(Manila)首都圏マカティ(Makati)市内で29日、ペニンシュラ・ホテル(Peninsula Hotel)に反乱将校らのグループが立てこもりグロリア・アロヨ(Gloria Arroyo)大統領の辞任を要求していた事件は、同日午後、治安部隊がホテルに突入。反乱グループは全員投降し身柄を拘束された。

 立てこもりを続ける反乱グループに対し、治安部隊は催涙ガスを撃ち込みホテルへの突入を開始すると、反乱グループは催涙ガスの白煙が消え次第、投降すると報道陣に語っていた。

 反乱グループ指導者の海軍大尉、アントニオ・トリリャネス(Antonio Trillanes)上院議員は、2003年のクーデター未遂事件で起訴されており、公判中の裁判所から逃走しペニンシュラ・ホテルに立てこもっていた。

 事件を目撃したAFP記者によると、身柄を拘束されたのは反乱グループと同グループの支持者らで、両手を頭の後ろに上げた状態で重装備の治安部隊にホテルの2階からロビーに連行された。治安部隊の突入に伴い同ホテルのロビーは激しく損傷していたという。
 
 反乱グループを率いたトリリャネス上院議員は、テオフィスト・ギンコナ(Teofisto Guingona)元副大統領(79)とともに拘置所に向かうバスに乗せられた。元副大統領には手錠は掛けられなかった。反乱兵士らをホテルに率いたダニロ・リム(Danilo Lim)准将も、警官隊が警戒にあたる中、バスに連行された。

 一方、ホテルに滞在していた報道関係者を含む一般市民も、事情聴取のためだとして身柄を拘束、連行された。これについてSamuel Pagdilao警視正は、報道関係者に変装した反乱兵士が紛れている疑いがあると説明し、「反乱グループの兵士ではないことを確認する必要がある」と述べた。

 衝撃的な突入の一部始終は、テレビの同時中継で世界各地に伝えられた。(c)AFP