【11月28日 AFP】米アナポリス(Annapolis)での中東和平国際会議の開幕を翌日に控えた27日、パレスチナ自治区各地で会議に反対する市民が抗議デモを行い、一部が警官隊と衝突して1人が死亡した。

 マフムード・アッバス(Mahmud Abbas)パレスチナ自治政府議長が和平会議抗議デモを一切禁止しているヨルダン川西岸(West Bank)では、治安部隊がラマラ(Ramallah)、ナブルス(Nablus)、ヘブロン(Hebron)などでデモの取り締まりに当たった。ヘブロンでは、混乱のなかで銃弾を受けた1人が搬送先の病院で死亡した。ラマラでは、デモ隊が警察と数時間もみ合った末、解散させられた。

 一方イスラム原理主義組織ハマス(Hamas)が6月中旬から実効支配しているガザ地区(Gaza Strip)では、数万人規模の抗議活動が行われ、会議への参加を非難しているハマスをたたえた。

 ハマスの強硬派マフムード・ザハル(Mahmud al-Zahar)氏は、集まった支持者らに「会議が何千回開かれようとも、われわれはパレスチナ国民の名の下に合意内容を拒絶する」と明言した。またハマスによるガザ制圧のあとアッバス議長に解任されたイスマイル・ハニヤ(Ismail Haniya)元首相は「パレスチナ市民の権利に対するいかなる譲歩も受け入れられない。われわれの権利に抵触するような決定には一切従わない」と述べた。

 ハマスはイスラエル国家の承認や武力放棄を拒否している。またパレスチナ政府に対しては、難民の帰還やイスラエルの地位にかかわる問題では一切譲歩しないよう警告している。

 ハマスを支援しているイランは、中東和平国際会議に対抗してテヘラン(Tehran)で会議を開くと発表、ハマスを招待したことを明らかにした。

■ユダヤ人入植者からも不安の声

 一方ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地では、パレスチナ全土をイスラエルの領土とする「大イスラエル」の夢が崩壊の危機にさらされているとの不安が高まっている。26日夜には、数千人の入植者らがエルサレム(Jerusalem)にあるエフド・オルメルト(Ehud Olmert)首相の官邸に集まり、和平会議で譲歩しないよう訴えた。(c)AFP