【11月15日 AFP】米国の全国ネットのテレビ放送局CBSColumbia Broadcasting System)は、米軍が「自殺の流行」に見舞われ、週平均120人の退役軍人が自らの命を絶っているとする独自の調査結果を伝えた。

 全国規模で退役軍人の自殺件数調査が実施されたのは初めてで、集計結果は退役軍人とその他一般の自殺について1995年からの各州のデータを元にまとめられた。

 調査によると2005年に自殺した米退役軍人は少なくとも6256人で、1日平均で17人に上る。退役軍人全体では、一般に比べて自殺する可能性が2倍高く、一般における自殺率が10万人に8.9人に対して退役軍人では10万人に20.8人となる。年代別の自殺率では20-24歳の退役軍人では10万人中、22.9人から31.9人と、一般の同年代に比べて4倍近く高い。

 CBSによると、退役軍人の権利擁護活動家は、こうした数値から退役軍人の自殺が精神衛生上障害を生じる流行病だというのは明らかだと主張する。また、2005年に銃で自殺した23歳の兵士の父親は、軍当局が退役軍人の自殺の実際の規模を公にしたくないのだという。

 全米の退役軍人は計2500万人で、そのうちアフガニスタンとイラクの従軍経験者が160万人を占める。

 元米海兵隊員でイラクとアフガニスタンからの米復員軍人団体「Iraq and Afghanistan Veterans for America」創設者のPaul Rieckhoffさんは、「誰もが負傷して帰還するわけではないが、変わることなく帰還する者はいない」と話したという。(c)AFP