【10月31日 AFP】ミャンマーでは軍によって売買され強制的に徴兵された少年兵が増加し、徴兵された中には10歳前後の子どももいるという。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights WatchHRW)」が31日に発表した報告書「Sold to be Soldiers: The Recruitment and Use of Child Soldiers in Burma」で明らかになった。

 ミャンマー軍政は高い脱走率と志願兵の減少に悩まされており、新兵募集係や一般市民に対して現金などの報奨を出すことで新兵を確保しているという。

■脅迫、殴打の事例も

 上司から割り当てられた新兵数を確保できない場合は、街頭や駅などにいる子どもたちを徴兵対象にし、拒否されれば脅迫する場合さえあり、入隊に同意するまで殴られた子どももいるという。

 HRWはミャンマーで兵役に就いている子どもの数を数千人とし、最近編成された大隊の中には少年兵が大きな割合を占めるものさえあると指摘。ある少年の場合、身長が1メートル30センチ、体重が31キロに満たなかった11歳の時に徴兵されたという。

■少年兵さらに増える恐れ

 またHRWはミャンマー軍政が僧侶らによるデモを武力鎮圧した影響で志願兵が減少し、子どもたちの徴兵がさらに増加するとみている。

 報告書は、国連安保理(UN Security Council)は少年兵の問題で対ミャンマー制裁をちらつかせるが、実際にはまだ何もしていないと批判。安保理に対し、ミャンマー政府への武器供与、軍事協力、政府高官の入国制限などの制裁措置を求めている。

 HRWの関係者は「安保理は少年兵を徴兵し使用する者に対して、できる制裁は課すべきだ。ビルマによる少年兵使用のひどい実態は明らかに制裁に値する」とミャンマー政府を旧称で呼び批判した。

 また報告書では、ミャンマー国内に30以上存在するとされる武装組織の多くも少年兵を使っていることが指摘されている。

 ミャンマー軍政は、少年兵徴兵を防ぐ委員会を設置済みとしているが、HRW関係者はこの委員会について「ごまかしだ」と批判。同委員会は少年兵問題にふれる報告書などへの非難に活動の大半を割いていると指摘した。(c)AFP