【10月16日 AFP】(一部修正)トルコ政府は15日、クルド人独立国家を目指す武装組織「クルド労働者党(Kurdistan Workers' PartyPKK)」が拠点とするイラク北部への越境攻撃を承認する法案をまとめるための会合を行った。イラク北部にはおよそ3500人のPKK戦闘員が潜伏していると見られている。

 政府関係筋はAFPの取材に対し、「全閣僚の署名が得られ次第」法案は国会に提出されると語った。同法案では、越境攻撃の上限期間を1年間とすると見られる。

 レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan )首相は、国際的な圧力があろうともイラク北部への越境攻撃を妨害することはできないとけん制した上で、「費用は既に計算済みである」と述べた。

 軍当局筋は15日、法案が承認され派兵が発令されるまでは、攻撃の時期に言及するのは時期尚早であると発言。エルドアン首相も前週、「承認されたからといってすべてが始まるわけではない。必要になったときにすみやかに行動できるように、あらかじめ承認を得ておくのだ」として、越境攻撃が直ちに行われるわけではないとの見通しを示唆した。

 米国はトルコに対し、越境攻撃の自制を再三促している。一方トルコ政府は、PKKの拠点崩壊に向けた取り組みに対し、米国やイラクからの支援は一切ないと指摘、越境攻撃のほかに選択肢はないと主張している。

 トルコ政府や各国からテロ組織として指定されているPKKの攻撃が激しさを増す中、エルドアン首相は強硬手段の必要性に一層迫られている。(c)AFP