【10月13日 AFP】リカルド・サンチェス(Ricardo Sanchez)元イラク駐留米軍司令官が12日、イラク情勢を「終わりのない悪夢」と酷評し、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権のイラク戦略を批判した。

 サンチェス元司令官は同日、ワシントンD.C.(Washington D.C.)郊外のバージニア(Virginia)州アーリントン(Arlington)で講演。その席で元司令官は米政府指導部を「無能」「堕落した」「職務怠慢」などと評し、軍人であれば軍法会議にかけられるだろうなどと発言。そのうえで「米国がいま、終わりのみえない悪夢の中を生きていることは明白だ」と語った。

 ブッシュ大統領は、イラクでの宗派間抗争の沈静化と政治的安定を狙ってイラク駐留米軍を16万人規模にまで増派、その後、来年7月までに2万1500人を撤退させ増派前の13万人に戻す方針を表明した。

 これについても元司令官は「戦略の調整や修正を続けていては勝利は得られない」と述べ、このような方針変更も効果がないとの見方を示した。さらに、「この不十分な戦略でわれわれにできることは敗北を避けることぐらいだ」と厳しく批判した。

 テキサス(Texas)州南部の貧しいヒスパニック家庭に生まれたサンチェス元司令官は米軍で最高位まで上りつめたが、バグダッド(Baghdad)にある旧アブグレイブ(Abu Ghraib)刑務所での米兵によるイラク人虐待の責任を問われて2006年11月、除隊した。(c)AFP