【10月12日 AFP】イランのファルス通信(Fars news)は11日、現地治安当局者の話として、同国南東部で8日に拉致された日本人大学生の無事を確認したと伝えた。

 「イスマイル・シャハバフシュ(Esmail Shahbakhsh)」と名乗る誘拐犯は、誘拐した中村聡志(Satoshi Nakamura)さん(23)の解放と引き換えに、収監中の息子の釈放を要求しているという。

 国営イラン通信(IRNA)が伝えたところによると、中村さんはイラン南東部ケルマーン(Kerman)州バム(Bam)のホテルを出て、観光名所として人気を集める市内の要塞遺跡に向かう途中で拘束された。

 中村さんはその後、誘拐犯によりバムに近いシスタンバルチェスタン(Sistan-Baluchestan)州に連れ去られた。イラン警察はベルギー人旅行者のStefan Boeveさん(28)とCarla van den Eeckhoutさん(37)が8月1日にシスタンバルチェスタンで誘拐された事件と同一犯による犯行とみている。

■日本政府は対策本部設置、「全力尽くす」

 福田康夫(Yasuo Fukuda)首相は8日、「人命尊重という立場で何とか1日も早く取り戻したい」と語った。事件を受けて外務省は緊急対策本部を設置。イランのマヌチェフル・モッタキ(Manouchehr Mottaki)外相に支援を要請した高村正彦(Masahiko Komura)外相は、モッタキ外相から犯人グループ像と拘束場所の特定がほぼ済んでおり、事件解決に向けて全力を尽くすと伝えられたことを明らかにした。

 中村さんが通う横浜国立大学によると、中村さんは教育人間科学部に所属し、ボランティア活動のため、4月1日から9月30日まで休学を申請していた。また日本放送協会(NHK)の報道によると、中村さんは6月9日にネパールに到着し、小学校で2か月間英語と日本語を教えた後、パキスタンから国境を越えてイランに入国したという。(c)AFP/Aresu Eqbali