【10月9日 AFP】(10月10日一部更新、写真追加)アフガニスタンと国境を接するパキスタンの部族地域、北ワジリスタン(North Waziristan)地区で起きた武装勢力と軍の戦闘は9日も続き、パキスタン軍は武装勢力の拠点を空爆、7日の戦闘開始から死者の数は250人に上った。また、当局者や目撃者によると、多数の住民が同地域から脱出している。

 山岳地帯の町ミール・アリ(Mir Ali)周辺の戦闘は3日目に入り、民家も50軒以上が破壊された。住人約5万人のほとんどが家を捨てて近くの町などに避難している。軍は町を封鎖。市場も閉鎖しており、部族長老の話では、家を破壊しないようモスクの拡声器を使って軍に必死で訴える住民もいるという。

 地元住人によると、今回の空爆で女性と子供を含む数十人が死亡したというが、一方、治安当局は死亡したのはすべて武装勢力側の戦闘員と主張。

 パキスタン軍のWaheed Arshad報道官によると、これまでに少なくとも戦闘員150人と軍兵士45人が死亡したという。また、ペシャワル(Peshawar)の治安当局者によると、同日の空爆で新たに戦闘員50人が死亡し、また負傷者も同数程度いるもよう。

 さらに同日、兵士2人が道路脇に仕掛けられた爆弾の爆発により死亡したと声明で伝えられた。

 北ワジリスタンは、米国が国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の新たな拠点になっているとみなす地域。パキスタンの治安当局によると、武装勢力はイスラム原理主義勢力タリバン(Taliban)寄りで、アフガニスタンから国境を越えて「最新鋭兵器と多額の資金」が送り込まれ、非常によく訓練されているという。タリバンは2001年の政権崩壊以来、反政府活動を展開している。

 パキスタンでは7月に治安当局がイスラマバードの「赤いモスク(Red Mosque)」に突入し神学生を排除して以来、武力衝突やテロ事件が頻発している。パキスタン政府は、その背後にインドが絡んでいるとの見方を強めている。

 今回の戦闘は、米国の重要な同盟相手であるペルペズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領にとって大きなプレッシャーとなる。ムシャラフ大統領は6日に行われた大統領選の投票で最多票を獲得したが、正式結果は最高裁の判断待ちとなっている。(c)AFP/Hasbanullah Khan