【9月21日 AFP】(9月21日 写真追加)19日にレバノンのベイルート(Beirut)郊外で発生した自動車爆弾の爆発で死亡した反シリア派のアントワーヌ・ガネム(Antoine Ghanem)国会議員(64)らの葬儀が21日、ベイルートで行われた。レバノンでは25日に大統領選挙を控えており、さらなる混乱への懸念が高まっている。

 ガネム議員および議員とともに亡くなったボディーガード2人の葬列は、同議員の選挙区でもあったキリスト教徒が多く住むFurn el-Shebak地区から近くのSacre Coeur教会に向かう。

 19日に発生したベイルート郊外の爆発事件では議員らのほかに、家のバルコニーで家族とコーヒーを飲んでいた年配の女性と、車で仕事場から帰宅途中の若い会社役員が死亡した。1人は20日に埋葬され、もう1人は21日に埋葬されることになっている。爆発による負傷者は約70人だった。この事件に対して世界各国から非難の声が上がっている。

 レバノン政府は葬儀の日程に合わせて服喪を宣言し、20日、21日の両日、すべての大学と学校を休校にするよう命じ、政府施設には半旗が掲げられた。

■相次ぐ反シリア派議員の暗殺

 弁護士のガネム議員は、アミン・ジュマイエル(Amin Gemayal)元大統領が率いるキリスト教系のファランヘ党(Phalange)の議員として2000年に初当選した。6月に発生した別の反シリア派議員の暗殺事件後、身の危険を感じて国外に避難していたガネム議員は、16日に帰国したばかりだった。

 ジュマイエル党首の息子でピエール・ジュマイエル(Pierre Gemayal)産業相(当時)も2006年11月に暗殺されている。

 2005年に当時のラフィク・ハリリ(Rafiq Hariri)首相が暗殺されたのをはじめ、レバノンの反シリア派議員の暗殺はガネム議員で8人目となる。フアド・シニオラ(Fuad Siniora)首相は国連(United Nations)に対し今回を含めた一連の事件の調査を求めた。

 レバノン政府は高度なセキュリティー設備のある市内の高級ホテルの一角に議員らの緊急宿泊所を設けることを検討している。

 欧米の支援を受ける内閣とシリア寄りの反対派の対立で政治情勢が行き詰まるなか、政府は大統領選を予定通り25日に実施することを表明している。 (c)AFP