【9月21日 AFP】ロシア、コーカサス(Caucasus)地方のイングーシ(Ingushetia)共和国では、治安機関によると見られる誘拐や、反政府武装勢力の活発化などによって混乱が拡大している。

 同共和国では、誘拐、殺人、拷問が頻発しているが、今週発生した兄弟2人が行方不明になっている事件に政府が関与しているとして、市民200人が最大都市ナズラニ(Nazran)でデモを行ったことが緊張が高まる発端となった。

 ロシア国営テレビ(RTR)は、投石するデモ隊に警官隊が威嚇射撃を行う様子を放送した。デモ隊は、行方不明の2人の捜索を約束させ、現地時間20日午前3時に解散したという。その後、同共和国のMurat Zyazikov大統領は、行方不明になっていた2人が隣国チェチェン(Chechnya)共和国の山中で発見されたと発表した。

 しかし、住民の多くは、2人がほかの多くの人々と同様、山岳地帯を拠点とする反政府武装勢力に対して情報機関や軍部が行っている秘密工作の被害者だと見ている。

 また、インタファックス通信(Interfax news agency)が警察関係者の話として伝えたところによると、20日には反政府武装勢力によると見られる発砲事件があり、兵士2人が死亡、2人が負傷した。 

 同共和国ではこの夏、道路脇に仕掛けられた爆弾の爆発や、待ち伏せ攻撃などの事件が頻発し、ロシア軍関係者にとっては、チェチェン共和国と同様、イングーシ共和国も危険地帯になっている。(c)AFP/Sebastian Smith