【8月15日 AFP】(一部更新、写真追加)イラク北部のニナワ(Nineve)州で14日、大規模な自爆攻撃が発生し、少なくとも200人が死亡、200人以上が負傷した。この攻撃は、少数派宗教勢力ヤジディー(Yazidi)を狙ったものとみられている。軍当局および地方当局が伝えた。

 事件が起きたSinjarの市長は、がれきの下に多数の人が取り残されており、死傷者は更に増えるおそれがあると恐怖に震える声で語った。

 イラク戦争開始以来、過去4年間で最悪となったこの事件では、爆弾を積んだ4台の車両がニナワ州のAl-Khataniyah村とAl-Adnaniyah村で爆発した。

 これらの村にはヤジディーの信者が約50万人住んでいる。ヤジディーはクルド語の方言を話すが、独自の文化的伝統を保持している。

 またイスラム教出現以前の宗教を信仰しており、創造主である神を信じ聖書やコーランの預言者、特にアブラハム(Abraham)を崇拝するが、主な礼拝の対象はしばしばクジャクに象徴される大天使「Malak Taus」だ。

 ほかの宗教の信仰者はこの天使を悪魔と見なしているため、秘密主義的なヤジディーが悪魔信仰を行っているとの誤った見方も広まった。

 この地域はこれまで、イラクの大半の地域を巻き込んでいる暴力的な派閥主義や政治抗争とは無関係であったが、ここ数か月で近隣のイスラム教スンニ派地域との関係が急激に悪化していた。

 米ホワイトハウス(White House)は直ちに自爆犯を「罪のない一般市民に対する野蛮な攻撃」を行ったとして非難し、ダナ・ペリーノ(Dana Perino)大統領副報道官は、イラク軍を支援し「卑劣で残酷な殺人犯への報復」を行うと言明した。(c)AFP/Mujahed Mohammed