【8月7日 AFP】イスラエル軍が6日に発表したところによると、同軍の兵士ら十数人が、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)のヘブロン(Hebron)で建物2棟を不法占拠しているユダヤ人入植者に対する強制排除に加わることを拒否している。

 イスラエル軍部隊3000人と警察当局は7日、ヘブロンの卸売市場で数か月にわたり不法占拠を続ける2家族を強制排除することになっている。だが、兵士の一部が司令官に対し、強制排除への参加を拒否する意向を伝えたという。

 同軍の発表によると、Gadi Shamni司令官は 「部隊から除籍されることとなる中隊長2人と兵士約10人」を軍法会議にかけるよう命令を下している。同司令官は今回の件に関して「イスラエル軍は民主主義国家であるイスラエルの国民のために存在する、という大原則を脅かす危険な現象だ」と語ったという。

 ヘブロンに暮らすユダヤ人入植者は、極端な見解を有し、対立的な手段をとることで知られている。同地へのユダヤ人入植は、長年にわたり、パレスチナ人とイスラエル人の間で紛争の火種となってきた。

 イスラエル軍は1997年、パレスチナ自治政府との合意に従い、ヘブロンの80%の地域から撤退した。現在は、ユダヤ教徒・イスラム教徒双方にとっての聖地である「族長の墓(Tomb of the Patriarchs)」の周囲にある入植地で、ユダヤ人入植者数百人が軍の保護下で生活している。(c)AFP