【7月30日 AFP】アフガニスタンでイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)が韓国人23人を拉致し、1人を殺害した事件で、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン、Roh Moo Hyun)大統領特使としてアフガニスタンに派遣されている白鍾天(ペク・ジョンチョン、Baek Jong-Chun)統一外交安保政策室長は29日、アフガニスタンのハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領と会談、アフガン政府がとるいかなる立場をも尊重するとの意向を示した。

 タリバンはアフガニスタン政府が同組織のメンバー8人の釈放要求に応じなければ、残りの人質を殺害するとしているが、同国政府は要求には応じない構えを示している。

 同国政府は3月、タリバンに拉致されたイタリア人記者の解放と引き換えに同組織のメンバー5人を釈放したことで激しい非難を受け、その後、人質交換要求には応じないとの姿勢を表明した。

 カルザイ大統領府が発表した声明によると、同特使は「韓国政府はアフガニスタンの文化や政府が直面しているテロとの戦いをめぐる問題を十分理解している。人質解放に向けてアフガニスタン政府がとるいかなる立場も尊重する」と述べた。

 一方のカルザイ大統領は、人質解放に向けてできる限りのことをしていると強調した。

 ランジン・ダドファル・スパンタ(Rangeen Dadfar Spanta)外相の報道官は人質交換の可能性について尋ねられると、「われわれの姿勢はこれまでと変わっていない。だが同時に、すべての可能性を検討している」と答えた。

 アフガニスタン政府の交渉団はタリバン側に対し、女性を人質にとることは「反イスラム的」かつアフガニスタンの文化に反するとして、女性の人質16人の解放を求めている。タリバンメンバーの釈放については、女性の人質解放後に検討するとしている。

 これに対しタリバン側は、メンバーが釈放されない限り、人質の解放はしないとの姿勢を崩していない。(c)AFP