【7月26日 AFP】韓国政府は26日、イスラム原理主義組織タリバン(Taliban)が拉致した韓国人のうち1人を殺害したことについて厳しく非難。残る22人の人質解放のため、大統領特使をアフガニスタンに派遣すると声明を発表した。

■韓国、アフガニスタンへ特使を派遣

「罪のない一般市民を殺害するという残虐な行為に対し、韓国政府は国民とともに強く非難する」と盧武鉉(ノ・ムヒョン、Roh Moo Hyun)大統領府は声明を発表。「タリバンは、拘束している残りの韓国国民の生命について責任を負っている。罪のない一般市民の殺害は、いかなる状況、理由においても正当化されない。このような非人間的行為は認容できない」と糾弾した。

 白鍾天(ペク・ジョンチョン、Baek Jong-Chun)統一外交安保政策室長は26日、大統領特使としてアフガニスタンに派遣される予定。

■混乱する情報、誤報との願いも空しく

 韓国外交通商省の発表によると、殺害されたのは韓国のSaem-Mul教会のペ・ヒョンギュ(Bae Hyung-Kyu)牧師(42)で、アフガニスタン支援活動を行う援助団体のリーダー。拉致されたメンバーは、ほとんどが女性だった。

 1人娘を持つペ・ヒョンギュ牧師は、1998年に同教会を設立。4月にバングラデシュでもボランティア活動を行っており、アフガニスタンでの活動後は、貧困援助のためアフリカを訪問する予定だった。

 拉致された韓国人23人の無事を祈るため、ソウル(Seoul)南部にあるSaem-Mul教会に集まった1000人以上の人々は悲しみに包まれた。人質8人が解放されたとする一部情報(後にアフガニスタン、韓国両政府により否定)が入ってきた後、ペ・ヒョンギュ牧師殺害が公式に確認された。

 韓国南部の済州島に住むペ・ヒョンギュ牧師の母親、Lee Chang-Sukさん(68)は、息子の無事を祈るため同教会で夜を過ごしたが、殺害に関する公式確認を聞き、泣き崩れたという。父親のBae Ho-Jungさん(72)は政府による公式確認の前、聯合ニュース(Yonhap)のインタビューに対し、「この報道が間違っていると信じたい。今日も祈ります」と話していた。(c)AFP