【7月12日 AFP】 パキスタン軍は12日、立てこもりを続けていたイスラム教急進派勢力を前日武力制圧した通称「赤いモスク(Red Mosque)」で、掃討作戦の間に死亡したとみられる19人の遺体を発見したと発表した。遺体はどれも焼け焦げ、身元判別が難しく、女性や子どもの可能性もあるという。

 首都イスラマバード(Islamabad)中心部の神学校のモスク(イスラム教の礼拝所)で、治安部隊突入から2日に及んだ戦闘による死者は、新たに発見された19遺体により計86人となった。

 パキスタン軍のWaheed Arshad報道官は「これまでに回収した遺体は75体」と述べ、モスク内での死者を合計に加算した。うち19体については身元確認が困難な状態で、「誰であるかも、性別、年齢も分からない」と述べた。

 当局は当初、「赤いモスク」および併設されている神学校内での死者に、女性や子どもはいないと発表していた。一方、パキスタン軍による掃討作戦開始時、報道では施設内に女性、子ども合わせて数百人が残っている可能性を指摘していた。

 Arshad報道官は「(治安部隊突入が)開始された日に投降したのは85人で、男性56人、女性29人。うち39人は18歳以下だった」とし、「この数字は確実。各局が流している憶測に基づいたすべての報道や誤報が止むことを期待する」と報道陣に述べた。

 一方、パキスタン軍側は兵士11人が死亡、44人が負傷したという。

 また12日、同報道官の案内で戦闘終了後初めて、現場となったモスク(イスラム教の礼拝所)施設内と、大量に押収された抵抗勢力の武器が公開された。中にはグレネードランチャー(てき弾発射器)や地雷、自爆攻撃用のベストもあった。

 同報道官 によると、軍との戦闘中、自爆攻撃を決行した戦闘員は2人とみられる。また、爆発物を満載した自爆用ベスト2着が爆発前の状態で発見された。
 
 さらに内部が焼け落ちた神学校内の1つの教室も公開された。報道官の説明では、この教室に同軍部隊が進入しようとした際、抵抗勢力側の戦闘員1人が自爆したという。教室内からは自爆した人物の頭部のほか、5人の焼死体を発見したという。(c)AFP