【7月10日 AFP】パキスタンの首都イスラマバード(Islamabad)の「赤いモスク(Red Mosque)」に武装した急進派神学生らが立てこもっている事件で、10日朝から始まったパキスタン治安当局による総攻撃により治安部隊5人を含む多数の負傷者が出ている。

 治安当局高官によると、人数は不明ながら多数の負傷者が病院に搬送されたという。

 一方、治安当局広報官は取材団に対し治安部隊5人が負傷したことを明らかにした。治安部隊は屋上を制圧、武装勢力は地下室から小型の武器や手りゅう弾で激しく応戦しているという。治安当局は作戦終了には3-4時間かかるとみている。

 これに先立ち、「赤いモスク」に立てこもっている指導者のアブドル・ラシド・ガジ(Abdul Rashid Ghazi)師は治安部隊の同モスクへの攻撃を「ジェノサイド(集団虐殺)」だと非難した。

 民間テレビ局「ジオ(Geo)」に電話で語ったガジ師は、「全力を尽くして政府との交渉に臨んだが、政府側に事件を平和裏に解決する意志があったとは思えない。政府は当初からジェノサイドを望んでいたのだ」と訴えた。

 前日の9日に行なわれたガジ師とチョードリー・シュジャート・フサイン(Chaudhry Shujaat Hussain)元首相率いる政府側代表団との交渉は同日深夜に決裂。この数分後の10日未明に治安部隊が同施設への総攻撃を開始した。

 同交渉についてガジ師は「(政府側交渉団は)何度も交渉内容を変えてきた。最初は『善意の証』として学生2、3人の解放を求めてきたので合意した。すると、次には学生15人以上を解放しろと言ってきた。これにも私は同意した」と政府側の姿勢を非難した。

 また、「(政府側交渉団は)われわれが大量の武器を保持していると非難したので、実際にモスク内に入って自身の目で確かめればいいと答えた」と語っている。(c)AFP