【7月9日 AFP】首都イスラマバード(Islamabad)で急進派の神学生らが「赤いモスク(Red Mosque)」に立てこもっている事件で、治安部隊は8日、同モスク内の国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系の戦闘員が女性や子どもを殺害する恐れがあるとして、総攻撃の準備を進めている。

 6日目を迎えた立てこもり事件は、「人間の盾」として利用されている女性と子どもらを救出するために外壁の爆破を指揮した特殊部隊の司令官が犠牲となり、政府軍がさらに圧力を強めている。

 政府関係者は、モスクの中では、ペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領の暗殺未遂、および米国人ジャーナリストのダニエル・パール(Daniel Pearl)氏の拉致・殺害に関連があるとされるパキスタンの武装勢力のほか、外国人戦闘員も籠城(ろうじょう)しているという。

 さらに、現在は反政府勢力のHarkatul-Jihad-e-Islamiのメンバーらが指揮をとっており、激しく抵抗しているという。ムハンマド・イジャズル・ハク(Muhammad Ijaz-ul Haq)宗教問題相は、立てこもりを扇動していた同モスクの指導者の1人、アブドル・ラシド・ガジ(Abdul Rashid Ghazi)師は、内部の過激派によりすでに権力をはく奪された可能性が高いと述べた。

 一方で同モスクの関係者によると、ガジ師は強硬な姿勢を崩さず、立てこもっている学生らと共に、「投降よりは殉教を選ぶ。殉教によって国に革命を起こす」という遺書を書いたという。 

 ムシャラフ大統領は8日、シャウカット・アジズ(Shaukat Aziz)首相と電話で、延期し続けてきた強行策について話した。政府当局関係者は話し合いの内容について、「事態を早期に収束するため、強行突破も視野に入れている」と伝えた。

 ガジ師は地元テレビの取材に対し、8日の衝突で335人がモスク内で殺害されたと伝えたが、パキスタン政府のTariq Azeem情報相はこれを「でたらめ」と否定、立てこもりが始まってからの死者数を24人と発表した。(c)AFP