【6月8日 AFP】スリランカ最高裁判所は8日、武装警官が前日、国内少数派のタミル系住民数百人を最大都市コロンボ(Colombo)から強制退去させたことについて、基本的人権の侵害にあたるとしてただちに中止するよう命じた。

 裁判所職員はAFPの取材に対し、「本件について6月22日に聴聞会を実施する。それまでは、警察はタミル系住民の強制退去を行なってはならない」と語った。

 強制退去については、最高裁の裁定前からも、国内政治活動家や人権保護団体から、人権侵害だとして抗議の声があがっていた。

 一方、国防省は、強制退去は反政府勢力タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)による攻撃を回避するためだと説明した。今回、強制撤去の対象となったのはタミル系住民らが居住していた簡易宿泊所で、LTTE武装兵も同様の宿泊所を活動拠点としていたことがあるという。

 1970年代後半にスリランカ南部から始まったLTTEによるタミル人分離独立運動は激しさを増し、抗争は拡大の一途をたどっている。人口60万人のコロンボ周辺では、5月だけで2度のテロにより9人が死亡している。(c)AFP