【6月4日 AFP】スリランカで3日、反政府武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」が同国北部の政府軍施設を攻撃し、両者合わせて82人が死亡した。マヒンダ・ラジャパクサ(Mahinda Rajapakse)大統領が1日、LTTEとの対話再開の意思を表明したばかりだった。

 LTTEの発表によると、LTTEは2日夜、北部のバブニヤ(Vavuniya)からマンナル(Mannar)に至る各地で国軍施設を急襲。5時間にわたる戦闘で国軍兵士少なくとも30人を殺害し、長距離砲や4、5か所の砲撃拠点を破壊した。また、装甲車や重火器を強奪したと述べ、装甲車や占拠した国軍施設の写真を公開した。

 LTTE広報官はこの攻撃で、国軍の掌握地域に拠点を確立したとして、「国軍に壊滅的打撃を与えた」と主張。戦闘で死亡した国軍兵の遺体16体を、赤十字国際委員会(International Committee of the Red CrossICRC)を通して返還する意向を明らかにした。

 これに対しスリランカ国防省は、北部で戦闘があったことは認めたものの、政府軍の反撃でLTTEの戦闘員52人を殺害したと発表した。

 同地域では現在も散発的な戦闘が起きており、地域住民や治安当局者の話では、2日夜から激しい爆発音が続いているという。

 スリランカ紛争では、日本政府のスリランカ問題担当の明石康政府代表が、5日から4日間の日程で同国を訪れ、紛争地域の視察などを行う予定。停滞している和平交渉の推進を目指す。日本はスリランカの主要援助国で、2003年のスリランカ復興開発東京会議では、ノルウェーを中心に総額45億ドル(約5490億円)の国際支援をまとめた。(c)AFP/Amal Jayasinghe