【5月27日 AFP】バグダッド(Baghdad)とバスラ(Basra)で26日、サドル師を支持する武装勢力と米軍主導の連合軍が衝突した。前日、シーア派(Shiite)の強硬派指導者ムクタダ・サドル(Moqtada al-Sadr)師が4か月振りに姿を表し、政界への復帰を望む声も聞かれる中での衝突となった。

■バグダッドでの衝突

 米軍の発表によると、連合軍は同日朝、サドルシティ(Sadr City)でイランとの関係が疑われる男性を拘束。拘束された男性はイラン革命防衛隊員であるかのように振る舞っており、徹甲爆弾(てっこう ばくだん)の密輸に関与していたと見られている。男性拘束の直後、連合軍兵士への襲撃を企て、近づいてきた9台の車両が同軍により空爆され、搭乗していた5人が死亡した。

 この死亡した5人についてイラクの治安当局は、ガソリンスタンドに入るために並んでいただけと発表。同地区では、給油を待つ車両が数キロにわたって列を作ることは、日常的な光景であるという。

■バスラでの衝突

 サドル師率いる民兵組織マフディ軍(Mahdi Army)は、25日の衝突で死亡した仲間の報復攻撃として、英国軍の基地を爆撃した。このため、英国軍は戦闘機で応戦し、マフディ軍の民兵数人が死亡したと見られている。

 連合軍は死傷者の数について、調査中としているが、イラクの警察では、英国軍の戦闘機による攻撃で3人が死亡、7人が負傷したと発表。また、サドル師の支持者は、英国軍の戦闘機はシーア派のモスクの外に立っていた男性グループをめがけて攻撃し8人が死亡、22人が負傷したと述べる。

■活動再開、サドル師とマフディ軍

 ここ数か月にわたる米軍主導のイラクの治安活動の強化に伴い、サドル師とマフディ軍の少佐らは行動開始の時期を見計らっていたとされている。

 なお、サドル師の復帰について、シーア派閣僚のAbbas al-Bayati氏は「絶大な力を持っており、政治的にも治安的にも鎮圧が可能な人物。同氏の復帰は、イラクの転機のために必要なこと」と述べており、両派の指導者らも、サドル師の復帰が和解へ進展を早めると好意的に見ている。しかし、同師の強力な権力の下、より細分化された民兵が増えることも懸念されている。(c)AFP/Paul Schemm