【東京 2日 AFP】フィギュアスケート、アジア人唯一の五輪金メダリストの荒川静香(Shizuka Arakawa)が、3月20日から開幕する07世界フィギュアスケート選手権(ISU World Figure Skating Championships 2007)へ臨むアジア人選手への期待を語った。

 トリノ五輪終了後にプロ選手へ転向を果たし、フィギュアスケート界では長身とされる166センチメートルの身長の持ち主である荒川は「アジア人であるからといって不利であると感じた事はありません。アジア人で私だけが金メダリストであることが不思議です。今までどうして獲れなかったか考えた事がありません」と語り、アジア勢が大舞台で活躍できない理由が分からないとしながらも、「これはアジア人が金メダルは手を伸ばせば届くという事であり、世界各国にいるアジア系の人々に頑張れと勇気づけることであると思ってます」とアジア人選手への期待を口にした。

 また荒川は今大会では、日本の浅田真央(Mao Asada)と安藤美姫(Miki Ando)に関しては特に勢いづいてきているとしながらも、有力候補を誰か一人に選ぶのは不可能であると語り、浅田や安藤と共に2006年大会覇者のキミー・マイズナー(Kimmie Meissner、米国)や韓国の金妍児(Yu-Na Kim、キム・ヨナ)も有力候補に挙げた。また安藤に関しては「少しずつ状態は良くなってきている」と語り、4回転ジャンプから視点をシフトしてきていることについて触れ「自分のスタイルを見つけ始めている」としている。

 金妍児は同じく16歳の浅田に世界ジュニア選手権(World Junior Championship)と06-07グランプリシリーズ・ファイナル(Figure skating Grand Prix Series Final 2006-07)で勝利を収めている。

 過去のアジア系の選手の活躍として、1998年の長野五輪・女子シングルで中国系米国人のミシェル・クワン(Michelle Kwan)が銀メダルを、中国のルー・チェン(Chen Lu)が銅メダルを獲得している。また2002年のソルトレーク五輪では、クワンが女子シングルで銅メダルを、ペアでは中国のシュー・シェン(Shen Xue)/ホンボー・ツァオ(Hongbo Zhao)組が同じく銅メダルを獲得。さらには2006年のトリノ五輪のペアでは中国のツァン・ダン(Zhang Dan)/ツァン・ハオ(Zhang Hao)組が銀メダルを、シェン/ダン組が銅種目で銅メダルを獲得している。

 世界選手権において日本勢は女子シングルで伊藤みどり(Midori Ito)が1989年の世界選手権を制したのに続いて、1994年には佐藤有香(Yuka Sato)が、2004年には荒川が優勝を果たしている。

 写真は、トリノ五輪を終え帰国後に行われた会見で金メダルを披露する荒川(2006年2月28日撮影)。(c)AFP/Kazuhiro NOGI