【3月12日 AFP】チェコ出身で米国に亡命していた伝説のテニス選手、マルチナ・ナブラチロワ(Martina Navratilova)氏は11日、東京の日本外国特派員協会(Foreign Correspondents’ Club of Japan)で会見を開き、1月9日にチェコ国籍を取り戻していたことを明らかにした。

 共産主義から逃れ米国に亡命してから30年以上が経過したナブラチロワは会見で「あの時は国籍を捨てて亡命しました。でも1月9日にそれを再び取り戻しました」と話した。

 ナブラチロワは、米国とチェコ共和国という二つの国籍を持つことになり、米国のパスポートもそのまま保持していくという。

 プラハ(Prague)で生まれたナブラチロワは、冷戦の真っ只中の1975年に米国へ亡命した。これに対し政府は怒りを示し、ナブラチロワから国籍を剥奪。その6年後にナブラチロワは米国国籍を取得した。

 2007年にかつて祖国のチェコ共和国(旧チェコスロバキア)を恥じていたことを明かしたナブラチロワだが、現在はジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領の政権下にある米国を恥じているという。

 ナブラチロワは、チェコの日刊紙リドベー・ノヴィニ(Czech daily Lidove Noviny)に対し「我々がブッシュを選んだこと、そのことはもっと悪い」などと話している。

 旧チェコスロバキアは1993年に、共産主義体制の崩壊によりチェコとスロバキアの二つに分離した。

 国籍を捨てた理由に関しナブラチロワは、チェコ政府が当時主要大会を多数開催していた米国でのプレーを許可しなかったことを挙げている。

 ナブラチロワは現役時代、4大大会シングルスで通算18勝を記録し、1994年に一旦は現役を退くも、2000年にダブルスの選手として現役復帰を果たし、その後幾つかのタイトルを獲得し迎えた2006年の全米オープン・テニス2006(the US Open Tennis Championships 2006)の男女混合ダブルスで優勝したのを最後に完全に引退した。

 ナブラチロワは今後は、祖国のチェコに若い選手のためにテニススクールを開校する予定でいるという。(c)AFP