ポリウレタン製水着と大麻吸引パイプの一年、09年競泳界
このニュースをシェア
【12月24日 AFP】2009年の競泳界は、マリファナ吸引用パイプとポリウレタン製水着で騒然となった。
北京五輪で五輪史上最多の1大会8個の金メダルを獲得したマイケル・フェルプス(Michael Phelps、米国)は、英ニューズ・オブ・ザ・ワールド(News of the World)紙にマリファナ吸引用のパイプを顔に押し付けている写真が掲載され、歓迎したくない注目を集めた。
タブロイド紙に掲載された一場面により、フェルプスはスポンサーから契約を打ち切られ、米国水泳連盟(USA Swimming)から3か月の出場停止処分が下された。
フェルプスは、処分が解けて5月に競技復帰を果たし、2008年に全てを手にしたときほどの数字が残せなかったが、ローマ(Rome)で開催された第13回世界水泳選手権(13th World Swimming Championships)の男子100メートルバタフライでは49秒82の世界新記録で優勝し、2009年で最も生気に満ちた泳ぎを見せた。
フェルプスは、北京五輪同種目で勝利を飾った際に銀メダルだったミロラド・カビッチ(Milorad Cavic、セルビア)に0.13秒差をつけて、初めて50秒の壁を破った。最新のポリウレタン製水着を着用するアドバンテージを持ってしても、カビッチは形成を逆転することができなかった。一方、勝利したフェルプスは大舞台での勝負強さを再び証明した。
同大会でフェルプスは、200メートルバタフライでも世界記録で金メダルを獲得し、自身のレベルの高さを保った。しかし、200メートル自由形ではポール・ビーデルマン(Paul Biedermann、ドイツ)に自身が保持していた世界記録を破られ、五輪と世界選手権で続いていた個人種目の連勝は10で止まった。
ビーデルマンは同大会でイアン・ソープ(Ian Thorpe)氏が保持していた400メートル自由形の世界記録も打ち破った。このような好記録は、ハイテク水着とそれをどのように扱うかについての国際水泳連盟(FINA)の効果の薄い取り組みとの緊張感を高めた。
技術的革新の波は2008年、米航空宇宙局(NASA)の協力により開発され、一部にポリウレタンを使用した英SPEEDO社の水着「レーザー・レーサー(LZR Racer)」から始まった。
さまざまな型の水着が登場し、伝統的なへそからひざまでの長さの男子用よりも全身を覆うボディスーツ型の水着が多く採用され、北京五輪では多くの世界記録が生まれた。
その後、一部にポリウレタンを使用したアリーナ(Arena)社の水着や全てポリウレタンで製造されたジャケッド(Jaked)社の水着がさらなる論争を巻き起こした。FINAはためらいを見せ、当初は使用を禁止したが、一部の水着については使用を認可した。
混乱の中、いくつかの明らかな世界記録は、選手の着用する水着により、非公認となった。選手自身もスポンサー企業以外の水着を着用してでも競技力を求めるか否かという葛藤を強いられた、また競技前には着用する水着が変更された規則に適合しているか否かの検査を受けなければならなくなった。
ビーデルマンは、ハイテク水着が貴重な数分の1秒の時間短縮に貢献していると認めている。しかし、「本当の競泳に戻る」2010年には技術的な後退があることを楽しみにしているという。
議論の的となっている水着は、2008年2月から2009年12月にかけて塗り替えられた245個の世界記録(うち2009年は137個)に貢献していると見られている。
ハイテク水着時代に世界記録を破った選手がそのまま記録を保持できるかは、現時点ではまだ分からない。
競泳界には、その長い歴史と塗り替えられた記録をどのように調和させるかという大きな問題も残っている。
それでも選手自身は、より端的なレースに戻ることをただ単に期待している。
アンドリュー・ロータースタイン(Andrew Lauterstein、オーストラリア)は「今年は曖昧な1年だったと思うけれど、将来は明るいと思う。速い選手が勝つという時代に戻るね。競泳のイメージも変わるだろう。ボディスーツ型の水着を着てる選手はみんなロボットみたいだったし、スピードを上げてレースしていても、きついレースをしているなんて誰にも分からないんだ。これからは誰に能力があって誰にないのかが分かるようになるだろう」と話している。(c)AFP/Rebecca Bryan
北京五輪で五輪史上最多の1大会8個の金メダルを獲得したマイケル・フェルプス(Michael Phelps、米国)は、英ニューズ・オブ・ザ・ワールド(News of the World)紙にマリファナ吸引用のパイプを顔に押し付けている写真が掲載され、歓迎したくない注目を集めた。
タブロイド紙に掲載された一場面により、フェルプスはスポンサーから契約を打ち切られ、米国水泳連盟(USA Swimming)から3か月の出場停止処分が下された。
フェルプスは、処分が解けて5月に競技復帰を果たし、2008年に全てを手にしたときほどの数字が残せなかったが、ローマ(Rome)で開催された第13回世界水泳選手権(13th World Swimming Championships)の男子100メートルバタフライでは49秒82の世界新記録で優勝し、2009年で最も生気に満ちた泳ぎを見せた。
フェルプスは、北京五輪同種目で勝利を飾った際に銀メダルだったミロラド・カビッチ(Milorad Cavic、セルビア)に0.13秒差をつけて、初めて50秒の壁を破った。最新のポリウレタン製水着を着用するアドバンテージを持ってしても、カビッチは形成を逆転することができなかった。一方、勝利したフェルプスは大舞台での勝負強さを再び証明した。
同大会でフェルプスは、200メートルバタフライでも世界記録で金メダルを獲得し、自身のレベルの高さを保った。しかし、200メートル自由形ではポール・ビーデルマン(Paul Biedermann、ドイツ)に自身が保持していた世界記録を破られ、五輪と世界選手権で続いていた個人種目の連勝は10で止まった。
ビーデルマンは同大会でイアン・ソープ(Ian Thorpe)氏が保持していた400メートル自由形の世界記録も打ち破った。このような好記録は、ハイテク水着とそれをどのように扱うかについての国際水泳連盟(FINA)の効果の薄い取り組みとの緊張感を高めた。
技術的革新の波は2008年、米航空宇宙局(NASA)の協力により開発され、一部にポリウレタンを使用した英SPEEDO社の水着「レーザー・レーサー(LZR Racer)」から始まった。
さまざまな型の水着が登場し、伝統的なへそからひざまでの長さの男子用よりも全身を覆うボディスーツ型の水着が多く採用され、北京五輪では多くの世界記録が生まれた。
その後、一部にポリウレタンを使用したアリーナ(Arena)社の水着や全てポリウレタンで製造されたジャケッド(Jaked)社の水着がさらなる論争を巻き起こした。FINAはためらいを見せ、当初は使用を禁止したが、一部の水着については使用を認可した。
混乱の中、いくつかの明らかな世界記録は、選手の着用する水着により、非公認となった。選手自身もスポンサー企業以外の水着を着用してでも競技力を求めるか否かという葛藤を強いられた、また競技前には着用する水着が変更された規則に適合しているか否かの検査を受けなければならなくなった。
ビーデルマンは、ハイテク水着が貴重な数分の1秒の時間短縮に貢献していると認めている。しかし、「本当の競泳に戻る」2010年には技術的な後退があることを楽しみにしているという。
議論の的となっている水着は、2008年2月から2009年12月にかけて塗り替えられた245個の世界記録(うち2009年は137個)に貢献していると見られている。
ハイテク水着時代に世界記録を破った選手がそのまま記録を保持できるかは、現時点ではまだ分からない。
競泳界には、その長い歴史と塗り替えられた記録をどのように調和させるかという大きな問題も残っている。
それでも選手自身は、より端的なレースに戻ることをただ単に期待している。
アンドリュー・ロータースタイン(Andrew Lauterstein、オーストラリア)は「今年は曖昧な1年だったと思うけれど、将来は明るいと思う。速い選手が勝つという時代に戻るね。競泳のイメージも変わるだろう。ボディスーツ型の水着を着てる選手はみんなロボットみたいだったし、スピードを上げてレースしていても、きついレースをしているなんて誰にも分からないんだ。これからは誰に能力があって誰にないのかが分かるようになるだろう」と話している。(c)AFP/Rebecca Bryan