【9月17日 AFP】2020年夏季五輪の開催地に決定した東京。1964年大会に使用した施設を再開発する計画が進められているが、地元住民にとってそれは2度目の立ち退きを意味する。

 7日に行われた国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)総会で東京が開催地に選出された際、日本に住むほとんどの人はそのニュースを喜んだ。しかし一方で東京都在住の甚野公平(Kohei Jinno)さんは、自分の運命を恨んだという。

 甚野さんはかつて1964年大会のメイン会場建設のために、自宅と商売場所を失ったことがある。そして今回もまた、2020年大会に向けて施設の拡大と再開発が行われるため、再び立ち退きを余儀なくされている。

 AFPの取材に対し、甚野さんは「五輪を見たくもない。心の底深く五輪に対する怨念のような気持ちがあるんです」と話した。

 1964年東京五輪は、日本が第2次世界大戦の焼け野原から復興を遂げ、現代的な経済国家として生まれ変わったことを象徴する出来事だった。東京のあらゆる所に近未来的な五輪施設が建てられ、新幹線が開通し、都市高速や空港のモノレールもできた。

 そして今回もまた、多くのインフラ設備投資が始まる。1964年大会の準備と比べると規模は小さいが、それでも東京都は五輪関連の施設を建設するために約4000億円を投じることを発表しており、国内の建設業界は多大な恩恵を受けることとなる。

 会場となる35の施設のうち20が新築される予定で、そのうちのほとんどが現在急速に開発が進んでいる海岸沿いに建てられることとなる。また、道路の新設や改良工事などにもおよそ55億ドル(約5500億円)が投じられる。

 一方、現在の国立競技場(National Stadium)は取り壊され、その跡地に13億ドル(約1300億円)かけて開閉式屋根を備えた8万人収容のメインスタジアムの建設が計画されている。