【9月6日 AFP】東京五輪招致委員会(Tokyo 2020 Bid Committee)は5日、アルゼンチン・ブエノスアイレス(Buenos Aires)で記者会見を行い、そこでスポーツディレクターの荒木田裕子(Yuko Arakida)理事は、東京が2020年夏期五輪の開催地に選ばれたら、2011年の東日本大震災の影響を受けた若者を勇気づけることができるだろうと話した。

 しかし、このところ福島第一原子力発電所から放射能に汚染された地下水が流出していることが懸念されており、東京の招致活動の向かい風となっている。

 東京電力(TEPCO)は5日、施設から汚染水が太平洋(Pacific Ocean)に向かって流れ出ている可能性があることを初めて明かした。

 汚染水のニュースは、7日に国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)による開催地の投票を控える東京の招致活動にとって悪いタイミングで伝えられた。

 14人の選手や元選手とともに招致委員会の記者会見に臨んだ荒木田氏は、1万8000人を犠牲者を出した上、いまだに被災地に影響を与えているこの惨事がなるべく早く収拾することを願っているとコメントした。

「もちろんこの状況をできるだけ早く解決しなければいけない」と荒木田氏は言う。

「五輪を開催することによって、被災地の子どもたちに元気と癒やしを与えたいと願っている」

 震災の後、多くのアスリートががれきの撤去や応援を行うために地震と津波の影響を受けた地域を訪れた。

 招致委員会の竹田恒和(Tsunekazu Takeda)理事長は、選手らとともに被災地に出向いた時、最初は泣いていた子どもたちも憧れのスポーツ選手と過ごして元気になり、帰る頃には笑っていたという。

 一方、現役パラリンピアンの佐藤真海(Mami Sato)選手は、アスリートを含む全国の人々による被災地支援に感激したと言う。

「私は東北地方の出身だが、日本全国の人たちがひとつになった気がしてとても嬉しい。五輪まであと7年ある。問題解決を進めるチャンスはある」

 1984年のロサンゼルス五輪にレスリング・男子グレコローマンスタイルの選手として出場した経験を持つ馳浩(Hiroshi Hase)衆議院議員は、政府の対応により汚染水の問題は制御されるという見解を示した。

 馳議員は、震災後に政府が汚染物の流出をコントロールする法律を制定したことを説明し、「すでに国際原子力機関(IAEA)等で発表されている、汚染水に関する事柄については、全く問題ないという評価をもらっている。国費470億円をつぎ込む対策の基本方針も決まっている」と話した。

「放射能に関しては、健康にも環境にも影響はないと出ている。政府が責任を持ってこの問題を解決すると発表している」

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