【9月6日 AFP】2020年夏季五輪の開催都市を決める国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)の総会が、7日にアルゼンチンのブエノスアイレス(Buenos Aires)で行われる。

 ここでは、最終候補都市であるマドリード(Madrid)の強みと弱みをまとめた。

■強み

 緊迫したスペインの経済情勢から立ち直りを見せたマドリード。7月にスイス・ローザンヌ(Lausanne)のIOC本部で行われた見事なテクニカル・プレゼンテーションは、多くの委員がマドリードに対する見方を変え、有力候補地となる追い風を得た。

 過去には2012年と2016年大会の招致活動も行っており、その際の公約通り、会場となるスタジアムのほとんどは建設が終わっている。また、必要なインフラ設備もすでに整っている。

 IOCのリチャード・パウンド(Richard Pound)委員はプレゼンテーションの後、「前進したのはマドリードだ。マドリードのプレゼンテーションは高得点だった」とコメントした。  また最新のデータによると、長きにわたって危機に晒されていたスペインの経済情勢には回復の兆しが見え始めている。

 ユーロ圏で第4の経済大国であるスペインの財政は、1月から3月の間には-0.4%の萎縮を見せていたが、4月から6月には-0.1%と、マイナス幅が大きく縮小した。

 招致レースも佳境に入った今、マドリードの招致活動に余力はあるだろうか。女子ヨット選手として五輪金メダルに輝いたこともあるマドリード招致委員会の理事長、テレサ・ザベル(Theresa Zabell)氏は語る。

「この大詰めの段階で何ができるかって?とにかく全力疾走。われわれにはエネルギーがたくさん残っている」

■弱み

 経済データが上昇を見せているにもかかわらず、情勢が回復しなかった場合にのしかかるであろう問題を懸念する声も上がっている。

 また、7日に行われる最終プレゼンテーションで、7月よりも優れた発表をマドリードが披露できるかどうか疑問視する委員もいる。7月のプレゼンテーションではスペインのフェリペ皇太子(Prince Felipe)が登壇し、IOCに好印象を与えた。

「あれを超えることなんてできるのだろうか?よほどの奥の手がないと難しいだろう」とある委員は話している。(c)AFP/Pirate IRWIN