【6月13日 AFP】(一部更新)2020年夏季五輪の開催地に立候補しているイスタンブールの招致委員会は12日、トルコ各地で続く反政府デモが招致に影響することはないとする声明を発表した。しかし、国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)の委員2人は同日、AFPの取材に匿名で応じ、もはやイスタンブールに票を投じるどうか分からなくなったと述べている。

 イスタンブールは、2020年夏季五輪の招致をめぐって東京都、スペイン・マドリード(Madrid)と争っている。

 だが5月31日、イスタンブール市内にあるゲジ公園(Gezi Park)の再開発計画に反対するデモを警察が強制排除したことがきっかけで、独裁色を強めるレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相に対する全国規模の抗議デモが発生。国際社会におけるトルコのイメージは大きく損なわれることとなった。

■「再開発」に不安

 AFPの取材に応じたIOC委員2人は共に、再開発へのイスタンブール市民の怒りの大きさに懸念を表明した。

 委員の1人は、「ショッピングセンター建設に市民がこれほどの不満を表すならば、イスタンブールが開催地に選ばれ、関連施設の建設工事が始まった場合、どれほどの抗議運動が起きるのか不安だ」「同様の抗議デモが起きれば、IOCにとってもイメージダウンだ。関連施設の建設が大幅に遅れる可能性もある」などと述べている。

 イスタンブールの招致活動はこれまで、トルコ政府の全面的な後押しに加え、順調な経済情勢やキリスト教文化とイスラム教文化の混在する街の魅力などにも助けられ、好調な展開を見せていた。

 招致委員会は声明で、反政府デモについて「われわれの五輪計画の実施能力に影響を及ぼすものではない。五輪計画は環境団体やNGOと綿密な協議を重ねたうえで策定している」との述べ、五輪関連施設の建設に対しては幅広い支持を得ていると強調。「危険のない、ワールドクラスの五輪を開催できるという自信がある点に変わりはない」と主張した。(c)AFP/Pirate Irwin