【2月21日 AFP】日本レスリング協会(Japan Wrestling Federation)の福田富昭(Tomiaki Fukuda)会長は20日、世界中の歴代メダリストに対し、2020年夏季五輪の実施競技除外候補に挙がったレスリングの残留に向けて協力を呼びかけた。

 国際レスリング連盟(International Wrestling FederationFILA)で副会長を務める福田会長は、都内で記者会見を行い、連盟の役員全員にロビー活動方針を書面で提案したと明らかにした。

 吉田沙保里(Saori Yoshida)やロシアのアレクサンドル・カレリン(Alexander Karelin)氏を含む歴代メダリストは、5月下旬に国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)の理事会が開催されるロシアのサンクトペテルブルク(St. Petersburg)に集結するよう打診されている。

 記者会見で福田会長は、「理事に対してロビー活動をしたり、集会をやってアピールしようと提案した」と語った。

「IOC委員や理事に対するロビー活動が不足していたことは反省材料だ。ロシア側はカレリンを含めたメダリストを総動員すると言ってくれている」

 また福田会長は、FILAに加盟している180の国と地域の代表に対し、レスリングが五輪種目に残れるようにIOCのジャック・ロゲ(Jacques Rogge)会長宛に書簡を出すよう求めた。

 1900年大会を除く近代五輪の全大会で実施されているレスリングは、2月上旬に開かれたIOC理事会にて、15人の理事による採択で除外種目候補に選定された。

 2016年のリオデジャネイロ五輪でのレスリング実施は決まっているものの、東京が開催地候補として招致活動を行っている2020年夏季五輪での実施に関しては、ほかの追加候補7種目と競技の採用枠を争うことになる。

 20年夏季五輪で追加される競技は1枠とされており、5月の理事会では追加候補が3種目まで絞り込まれる予定で、9月の総会では最終決定が下される。
 
 レスリングのほかに追加候補として挙げられているのは野球・ソフトボール、スカッシュ、空手、ローラースポーツ、ウェイクボード、スポーツクライミング、武術太極拳の7種目となっている。

 ロンドン五輪のフリースタイル女子55キロ級で金メダルを獲得し、世界選手権を含めた国際主要大会13連覇を達成している吉田は、理事会が行われるサンクトペテルブルクを訪問することを表明した。

 記者会見に同席した吉田は、「テレビで五輪を見てレスリングを始めたし、私に憧れて競技を始めた子もいると知った時はうれしかった。子供たちの夢を壊さないよう継続を訴えていきたい」と語った。

 15日から17日の日程でタイのプーケットで行われたFILAの理事会では、責任を問われたラファエル・マルティネッティ(Raphael Martinetti)会長の不信任決議が可決され、ネナド・ラロビッチ(Nenad Lalovic)理事が9月まで会長代行を務めることが決まった。

 理事会に出席した福田会長は、「IOCの会議に参加せず、積極的にロビー活動を行わなかったマルティネッティ会長に非難が集中した」と明かしている。(c)AFP