【2月13日 AFP】国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)が12日に開いた理事会の決定により、レスリングが2020年夏季五輪の実施競技から除外候補になったことを受け、12年ロンドン五輪で4つの金メダルを獲得した日本国内では波紋が広がっている。

 フリースタイル女子55キロ級で五輪と世界選手権合わせて13度の優勝を果たし、10年以上に渡って女王に君臨し続けている吉田沙保里(Saori Yoshida)は、「本当に疑問に思う。ショックでショックでしょうがないし、どうしたら良いのかなって状況です」とコメントした。

 2012年にはこれまでの功績を称えて国民栄誉賞を授与された吉田は、20年夏季五輪の開催都市に立候補している東京都の招致活動の顔にもなっていた。

 今回の除外候補決定は15人の理事による採択であり、今後すべてのIOC委員が参加して行われる投票によって最終決定が下される。7年後の20年夏季五輪の追加競技としてレスリングは他の7種目とその座を争うことになる。

 日本レスリング協会(Japan Wrestling Federation)の福田富昭(Tomiaki Fukuda)会長は、「本当に驚いてます。まったくの理由が分からない」とテレビ朝日(TV Asahi)のインタビューに応じた。

 さらに同協会ウェブサイトでも、「不満だし、不可解。IOCがレスリングを外した理由を聞きたい」と会長の談話を掲載している。

 今回のIOCによる決定に対して国内メディアは、「日本のお家芸が消滅の危機」と一斉に報じた。

 波紋は政界にも広がり、菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官は、「レスリングは日本のお家芸の競技でなじみが深く、世界最古のスポーツとも言われる。今回の決定は大変残念だ」とコメントしている。(c)AFP