【2月9日 AFP】8日に行われたボクシングWBAインターナショナルヘビー級タイトルマッチで、オールブラックス(ラグビー・ニュージーランド代表)で活躍したソニー・ビル・ウィリアムズ(Sonny Bill Williams)が、南アフリカのフランソワ・ボタ(Francois Botha)を判定で下した試合が議論を呼んでいる。

 当初はWBAの規定に沿って12ラウンドが予定されていたが、試合は10ラウンドで終了し、会場に集まったファンやボタの関係者からは不満が続出した。

 オールブラックスの一員として2011年のラグビーW杯ニュージーランド大会優勝に貢献したウィリアムズは、今回の試合がプロボクサーとして6戦目だった。それでもリングサイドのジャッジ3人は、満場一致で経験豊富なボタではなく、ウィリアムズを支持した。

 こうした状況の中、ブックメーカー(賭け屋)は賭け金の払い戻しに応じており、44歳のボタはラグビー界のスターに対して再戦を要求している。

 最終ラウンドにボタの重い打撃を何度も受けたウィリアムズは、両陣営は試合が10ラウンドで終わることを知っていたと9日にツイートしている。

「試合から一夜明けた今、なんてすばらしい夜だったんだと実感している。お互い戦う前から10ラウンド制であることを理解していた!WBAインターナショナルベルトだ!!」

■試合開始直前のルール変更に関係者も困惑、

 オーストラリアの地元紙は、当日リングサイドでジャッジを務めたオーストラリア・ボクシング連盟(ANBF)の副会長が、なぜ試合が短縮されたのか疑問に思っていると伝えている。

 副会長を務めるアラン・ムーア(Alan Moore)氏は、「リングアナウンサーによって最終ラウンドが場内にアナウンスされた時、私たちジャッジは初めて変更があったことを知った。国際タイトルマッチは原則として3分12ラウンドで実施されるのに、なぜこうなったのか理解できない」と述べた。

 ANBFで役員を務めるジョン・ホッグ(John Hogg)氏は、試合開始直前になって2ラウンドを短縮するという決定が下されるのは「珍しい」が、当日は両陣営の合意を受けてオフィシャルが変更したと主張している。

 ホッグ氏は9日、フォックス・スポーツ(FOX Sports)に対して「試合が始まってから変更があったとする憶測は実にばかげている」と語った。

「10ラウンドに短縮したことは両陣営から事前に報告を受けている。ただ、それをWBA(世界ボクシング協会)に確認する時間がなかった」

 ジャッジは判定3-0(97-91、98-94、97-91)でウィリアムズの勝利を支持したが、観衆からはブーイングの嵐が巻き起こった。

 しかし、23年間のキャリアでレノックス・ルイス(Lennox Lewis)をはじめ、マイク・タイソン(Mike Tyson)、イベンダー・ホリフィールド(Evander Holyfield)、ウラディミール・クリチコ(Wladimir Klitschko)といったヘビー級の猛者と戦ってきたボタを苦しめたウィリアムズに対し、称賛の声がまったく無かったわけではない。

 とある一人のファンはツイートで、「アマチュアボクシングの実績もなく、まともな練習を行っていない男が、名だたるボクサーと60試合近い戦歴を持つ男に勝利した」とコメントしている。(c)AFP