【7月16日 AFP】独スポーツ用品大手アディダス(Adidas)は15日、ドーピング検査で禁止薬物の陽性反応を示した陸上短距離のタイソン・ゲイ(Tyson Gay)とのスポンサー契約を凍結すると発表した。

 アディダスは声明でゲイのドーピング疑惑に「衝撃」を受けているとしたものの、契約の打ち切りに踏み切ることはなかった。

「事実が明らかになるまで彼の無実を信じてはおりますが、タイソンとの契約は現時点で凍結となります」

「アディダスはドーピングや薬物使用に関して明確なポリシーを持っています。すべての契約アスリートとの合意内容には、各競技における権威を有するスポーツ団体が定める禁止薬物をアスリートが所有、使用した際にはアディダス側から契約を打ち切ることができるという項目が含まれています」

 現在30歳のゲイは、100メートルの自己ベストが世界歴代2位の9秒69、200メートルの自己ベストが同5位の19秒58という記録を持っている。

 2007年の第11回世界陸上大阪大会(11th IAAF World Championships in Athletics Osaka)では100メートル、200メートル、4×100メートルリレーで金メダルを獲得して3冠を達成。2009年大会(12th IAAF World Championships in Athletics Berlin)の100メートルでは銀メダルを獲得している。しかし、五輪では故障や不運に見舞われ、同様の結果を残すことができていなかった。

 ゲイは14日、6月に行われた米国代表の選考会で提出したサンプルから禁止薬物の陽性反応が出たという結果を知らされていることを認めている。

■パウエルは現状維持のまま

 同じく男子短距離の花形選手、アサファ・パウエル(Asafa Powell、ジャマイカ)も14日にドーピング疑惑が明るみになったが、ゲイに対するアディダスの対応とは異なり、パウエルのスポンサーとなっている独スポーツ用品大手プーマ(Puma)は現状を維持すると、AFPの取材に答えた。

「弊社とジャマイカ陸上競技連盟(Jamaica Athletics Administrative AssociationJAAA)には長年にわたって築き上げた関係があります。同連盟が採用している反ドーピング対策を全面的に信頼しており、それはアスリートに対する信用、ジャマイカの陸上界の品位を包括的に保証するものです」

 さらにプーマは、男子100メートルの元世界記録保持者であるパウエル個人と契約を結んでいるのではなく、同国の陸上代表チームと契約を結んでいるという点を強調した。

 14日にドーピング疑惑が明らかとなったジャマイカの陸上選手はパウエルを含めて5人。同国では6月に女子短距離のベロニカ・キャンベル・ブラウン(Veronica Campbell-Brown)のドーピング違反が発覚したばかりだった。(c)AFP