【12月25日 AFP】陸上、ジャマイカの短距離選手、ウサイン・ボルト(Usain Bolt)は、ロンドン五輪で2大会連続の三冠を達成し、陸上界の伝説としての地位を固めた。

■五輪で「伝説」になったボルト、新境地切り開いたピストリウス

 2008年の北京五輪で男子100メートル、200メートルで表彰台の頂点に上ったボルトは、ロンドンで史上初となる同2種目の連覇を果たした。

 さらに4×100メートルリレーでジャマイカは36秒84という世界新記録で金メダルを獲得し、五輪スタジアム(Olympic Stadium)で9日間に渡って行われた陸上競技の最後を締めくくった。

 ボルトは「このために俺はここにやってきたんだ。俺は伝説になった。人類史上最も偉大なアスリートだ。2013年の目標は、極限までタイムを伸ばして、世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Mowcow)の100メートルでタイトルを取ることだ」と語った。同大会は2013年8月10から18日にかけて開催される。

 ボルトは、米国のアリソン・フェリックス(Allyson Felix)とともに国際陸上競技連盟(International Association of Athletics Federations、IAAF)が主催する2012年の年間世界最優秀陸上選手に選出された。

 ボルトが同賞に選出されたのはここ5年間で4度目。一方、初受賞となったフェリックスは、ロンドン五輪で女子200メートルとリレー2種目で3つの金メダルを獲得している。

 陸上界は、南アフリカのオスカー・ピストリウス(Oscar Pistorius)が義足選手として初めて五輪出場を果たしたことでも、新たな歴史を刻んだ。

 男子400メートルで決勝進出を逃したピストリウスは、最下位に終わったものの4×400メートルリレーで南アフリカ代表のアンカーを務めた。

 メダル獲得数では、米国が1992年バルセロナ五輪以来最多となる金9個、銀13個、銅7個、合計29個のメダル数でトップに立った。

 2番手には18個(金8個、銀4個、銅6個)のロシアが入り、ボルトを擁するジャマイカが12個(金4個、銀4個、銅4個)で3番手につけた。

■消えないドーピング、過去の五輪でもメダル剥奪処分

 ドーピング(禁止薬物使用)違反ではベラルーシの女子砲丸投げ選手のナデジダ・オスタプチュク(Nadezhda Ostapchuk)が最大の注目を集めた。ドーピング検査で筋肉増強作用のある禁止薬物が検出され、オスタプチュクは金メダルを剥奪された。

 ニュージーランドのバレリー・アダムズ(Valerie Adams)が繰り上がりで金メダルを獲得したものの、オスタプチュクはコーチが薬物を混入した食事を本人は無自覚で摂取したという理由により、1年間の出場停止処分にとどまった。

 また、国際五輪委員会(International Olympic CommitteeIOC)は、2004年のアテネ五輪のメダリスト4人の失格を決定した。

 IOCが当時採取した検体を新たな解析技術を用いて再検査したところ、禁止薬物の陽性反応を示したという。

 これにより男子砲丸投げ金メダルのユーリー・ビロノク(Yuri Belonog、ウクライナ)、男子ハンマー投げ銀メダルのイワン・ティホン(Ivan Tikhon、ベラルーシ)、女子円盤投げ銅メダルのイリーナ・ヤチェンコ(Irina Yatchenko、ベラルーシ)と女子砲丸投げ銅メダルのスベトラーナ・クリベリョワ(Svetlana Krivelyova、ロシア)がそれぞれメダルを剥奪された。

 ティホンは北京五輪でもドーピング違反を犯しており、五輪でメダル剥奪処分を受けるのは2度目となる。

 皮肉にも、クリベリョワの失格によって銅メダルに繰り上がった女子砲丸投げ選手は、オスタプチュクとなっている。

 一方、ダイヤモンドリーグ2012(IAAF Diamond League 2012)第14戦ブリュッセル大会では、米国のアリエス・メリット(Aries Merritt)が男子110メートルハードルで2008年6月にキューバのデイロン・ロブレス(Dayron Robles)が樹立した世界記録12秒87を更新する12秒80の世界新で優勝を飾っている。(c)AFP/Luke Phillips