【8月21日 AFP】第12回世界陸上ベルリン大会(12th IAAF World Championships in Athletics Berlin)女子800メートルの覇者で、性別疑惑が浮上しているキャスター・セメンヤ(Caster Semenya)を、地元南アフリカの新聞は「ゴールデンガール」とたたえ、同選手の家族は疑惑を一蹴(いっしゅう)している。

 セメンヤはシーズン世界最高記録の1分55秒45で優勝し、その直後に国際陸上競技連盟(International Association of Athletics FederationsIAAF)は性別をはっきりさせなければならないと発表した。しかし、南アフリカのすべての大手新聞社は、勝利に歓喜する同選手の姿を一面に載せている。

 セメンヤを「私たちのゴールデンガール」と名づけたソウェタン(Sowetan)紙に対し、父親のヤコブ(Jacob)さんは「彼女は私の娘です。私は彼女を育て、性別を疑ったことは一度もありません。彼女は女性です。100万回でも繰り返しましょう。私の娘をそっとしておいて欲しい」と語っている。

 80歳の祖母は、同国のタイムズ(The Times)紙に対し、セメンヤがこれまで男の子のようなルックスでいじめられ、地元のサッカーチームでは唯一の女子だったことを明らかにしている。

 南アフリカ北部のリンポポ(Limpopo)の農村で祖母は「彼女が女性だということは分かっているので、(論争で)頭をそれほど悩ますことはありません。彼女は私が育てました。(予選の後)彼女は電話をしてきて、自分が男だと思われていると言っていました。本当は男ではないのに男と言われて何ができるのでしょうか?彼女の外見をそうしたのは神様なのです」と語っている。

 数週間前までまったく無名だったセメンヤだが、ビールト(Beeld)紙はセメンヤの出生地は遠方の田舎で、高校生の間は電気も水道もない場所で祖母と生活していたと伝えている。

 同紙に対して疑惑を一蹴したセメンヤのコーチは、同選手が子供のころから何度も男の子ではないかと疑われていたことを明かし、「声がしゃがれているという事実はどうしようもなく、本当に女の子であることを説明しなければならなかった。特筆に値するのは、性別を疑われてもキャスターが冷静さを失わず、品位を損ねなかったことだ」と語っている。

 また、これまで何度も「乱暴に辱められ」、2009年上旬には数人から女性更衣室の使用を禁止するよう求められたセメンヤが激怒した場面を目撃した同コーチは、「キャスターは『中を見られるようにパンツを下ろして欲しいか?』と言い、後に何人かは彼女に深く謝罪した」ことを明らかにしている。(c)AFP

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