【12月26日 AFP】北京五輪の陸上男子短距離3種目を全て世界新記録で制したウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)が陸上競技界が切実に求めていた勢いを与えた。

 男子100メートルの前世界記録保持者のティム・モンゴメリー(Tim Montgomery)や、元メダリストのマリオン・ジョーンズ(Marion Jones)が刑務所で過ごす中、ボルトは「鳥の巣(Bird’s Nest)」(北京国家体育場(Beijing National Stadium)の愛称)でその真価を発揮した。約9万人の観客が見守る中、ボルトは100メートルを9秒69、200メートルを19秒30で走り、共に世界新記録で金メダルを獲得すると、4x100メートルリレーでは第3走者としてジャマイカチームの世界新記録での金メダル獲得に貢献した。2009年8月には第12回世界選手権ベルリン大会(12th IAAF World Championships in Athletics Berline)を控えるボルトは「誰もが僕を捕まえようと必死になるだろうけれど、それはただ僕を更に押し上げるだけになるだろう」と語っている。

 エレーナ・イシンバエワ(Yelena Isinbayeva、ロシア)はボルトと共に国際陸上競技連盟(International Association of Athletics FederationsIAAF)から2008年の年間最優秀選手に選出された。イシンバエワは世界新記録の5メートル05で女子棒高跳びの五輪2連覇を達成し、鳥の巣に集まった観客を魅了した。北京五輪の長距離種目では、男女の5000メートルと10000メートルでそれぞれケネニサ・ベケレ(Kenenisa Bekele、エチオピア)とティルネシュ・ディババ(Tirunesh Dibaba、エチオピア)が2冠を達成している。

 男子110メートルハードル連覇を狙った地元の英雄、劉翔(Liu Xiang、リュウショウ)の怪我による棄権は、北京五輪で最も劇的な出来事となった。試合当日、劉翔は午前中に行われる予選の為スタートブロックの位置についたものの、頭を下げ、足を引きずりながらゆっくりとトラックを後にすると、観客は静まり返った。(c)AFP/Luke Phillips