【香港 6日 AFP】エクササイズブームが過熱する中で、記録的な数の人々が健康のために暑さ、湿度、活気の無いコースを気にもせずに4日の香港マラソン(Hong Kong marathon)に参加した。

 しかし大気汚染が広がる中で、香港で運動する利点に関する疑問が持ち上がっている。

 香港大学(The University of Hong Kong)のAnthony Hedley教授は、「私は世間を騒がせていると思われたくない。それでも、誰かが『私は走るべきですか?』と尋ねるなら、走るように勧める理由は1つも思い浮かびません。こんな不快極まりない空気の中でマラソンが開催される場所は世界中のどこにも無いでしょう。」とレース前に語った。

 スモッグに空を覆われた香港のイメージという結果は、来年に香港が北京五輪の馬術競技を主催し汚染が国際的な注目の的となる際には、香港に深刻な影響を及ぼす恐れがある。

 アクションアジア誌(Action Asia magazine)のSteve White氏は、「北京は出来る限りきれいな大気を維持する努力をしているので、香港が汚染に関して比較的に悪いイメージに終わるならば面白いかもしれない。」と語った。

 4日に開催されたレース後には、参加43956人中およそ6000人が治療を受け、その内の1人は重態だった。昨年の同大会では、53歳の男性は暑さと大気汚染のため死亡した。

 参加者は汚染率が高くない(国際基準に比べると依然高いが)と聞き安心したが、汚染が大会に向けての準備に影響を及ぼしたと語っている。

 香港在住のHarley Bostockさんは、「私は香港に住んでいます。スモッグがひどい日が多くあり、そんな日は走りに出ません。」と語った。

 汚染された空気の中で運動することは心臓疾患の危険性を増すことを主張するHedley氏は、市民が健全な考えを持っていることを語ったうえで、「定期的な運動からは疑いなく利益が得られます。しかし香港の大気汚染のレベルでは好ましくないといえるだろう。」と警告した。

 写真は、4日に開催された香港マラソンで市内を走るランナー。(c)AFP/PHILIPPE LOPEZ