【アテネ/ギリシャ 29日 AFP】警察当局は、ギリシャで行われたバレーボール、オリンピアコス・ピレウス(Olympiacos Piraeus)vsパナシナイコス・アテネ(Panathinaikos Athens)の試合で、フーリガンによる暴動が起こり1人が死亡、5人が負傷する事件が起きたことを明らかにした。警察の調べによると、暴動を起こしたフーリガンのグループは、二輪車で現れ、予め機動隊が配置された場所から離れた場所で暴動を起こす計画していたとみられる。

 フーリガンはボトルやナイフ、スクリュードライバーを使ってスタジアムから少し離れたおもちゃ屋の駐車場で暴動を起こした。暴動は近くを通っている高速道路上にまでおよび、その影響で一時交通は麻痺した。暴動に巻き込まれ頭部に重傷を負った25歳のファンは、アテネ市内の病院に搬送されたが帰らぬ人となったと、病院関係者がAFPに明らかにしている。このファンは、複数の刺し傷も負っており死因は明らかになっていない。警察は、自身の車を攻撃され群がるファンの中に車で突っ込んだ運転手を含む18人の身柄を拘束している。

 この事件を受けビロナス・ポリドラス(Vyron Polydoras)公安相は「これはとても悲しい出来事であり、遺憾なことです。」と遺憾の意を表明した。

 現在機動隊はファンが運ばれた病院を警備に当たっている。高速道路を走っていた2台が襲撃され、そのうち1台は火炎瓶により全焼した。襲撃された運転手は「彼らは危うく私の頭をかち割るところだった。もし警察の介入が遅かったら、彼らは私達を生きたまま燃やしていただろう。」とギリシャ国営放送のNETに語っている。また他の目撃者は「彼らは5分間私達の車の上でジャンプし、携帯電話を貸せと要求し私達の運転手を刺したんだ。」とテレビ局MEGAに事件の様子を話した。

 またこの暴動で付近の3つの店舗も被害を受けたとアテネ通信社(ANA)は報じている。ファンによる暴動はギリシャのスポーツ界では頻繁に起きており、サッカーやバスケットボールで起こることが多い。しかしまれに水球やバレーボールなどの他のスポーツでも起こっている。ギリシャ政府は暴動根絶の為、法律の強化、個人名の入ったチケットの推奨、スタジアム内に監視カメラの設置を率先して普及させるなど対策をこうじてきた。しかし、その対策にも限界があり24日に行われたサッカー、欧州選手権2008(Euro 2008)・予選グループC、ギリシャvsトルコの一戦で、関係者の監視をかいくぐり発煙筒が焚かれた。またギリシャの一部のファンが掲げたスローガンに反発したとみられる乱闘も起こっている。

 写真は、暴動で破壊された車。(c)AFP