【6月10日 AFP】第43回世界体操競技選手権(43rd World Artistic Gymnastics Championships)の男子個人総合で優勝した内村航平(Kohei Uchimura)は、ロンドン五輪では個人の栄光よりも、団体で最大のライバルの中国から金メダルを取り返したいと考えている。

 6日にナショナルトレニーングセンターで練習を公開した内村は、集まった報道陣に対し、「団体で金メダルしか考えていない。北京の時から銀しか取っていないので」と語った。

北京五輪の個人総合で中国の楊威(Yang Wei、ヤン・ ウェイ)に次ぐ銀メダルに終わって以降、世界選手権で前人未踏の個人総合3連覇を達成している内村は、「その悔しい思いはもうしたくない」と話す。

「学生の時に団体優勝してすごく嬉しかった。世界の舞台で5人全員で取ったらすごい快感だろうと思う」

 2007年の世界選手権で団体2位に終わった日本は、2008年の北京五輪でも2位に終わり、団体種目での金メダルを逃した。日本は2010年と2011年の世界選手権でも団体2位に終わっている。

 ロンドン五輪で1984年以来となる個人総合の金メダルが期待されている内村は、団体戦では鉄棒のミスが響き、2010年と2011年の世界選手権で中国をとらえることができなかったと語った。

 自国開催となった2011年の世界選手権では、内村と田中佑典(Yusuke Tanaka)が鉄棒で落下したため、中国が日本に2点差をつけて団体5連覇を達成した。

 2010年の世界選手権では、田中和仁(Kazuhito Tanaka)が鉄棒で落下している。 内村は「ゆかで点を稼ぎ、鉄棒で負けないようにする。各種目で0.1点でも中国を上回り、ミスをしないことが重要」と話した。

■内村「ロンドンでの不安材料は外国製の器具」

 内村はロンドン五輪で使用される外国製の器具に不安を抱えてることを明らかにした。

 取り寄せた器具で3週間練習を行っている内村は「基本的に全種目、日本の器具よりはすごくやりづらくて、いつもより力を入れないとできない。少し体への負担が大きい」と話した。

 第43回世界体操競技選手権(43rd World Artistic Gymnastics Championships)のゆかで金メダルを獲得し、ロンドンでは個人種目別の6競技に出場することを目指す内村は「やっていけば慣れると思う。(ロンドンで開催された)2009年の世界選手権でも一か月ぐらいやって慣れてきた」と語った。

 また、自身のライバルについて内村は「そんなに(ライバルを)意識していない。自分の理想の演技を求めている。他の選手がどうであろうと、自分のやることは変わらない」と語った。

 ロンドン五輪で体操競技が実施されるO2アリーナ(O2 Arena)は、内村にとって2009年に世界選手権初優勝を飾った縁起の良い場所となっている。

「あの会場が五輪の会場になる。(あの時)いい演技ができたので、今回もできると思う」

 内村は北京五輪の体操日本代表チームで最年少だった。しかし、ロンドン五輪に出場する代表選手の中では、唯一の五輪経験者となる。

 内村は「4年前は周囲の選手についていったが、今回は自分が一番最初に体育館に入って練習して皆を引っ張っていく感じ」と語った。(c)AFP/Shigemi Sato