【5月13日 AFP】今季限りでの退任を発表しているマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)のアレックス・ファーガソン(Alex Ferguson)監督が12日、退任の理由について口を開き、妻のキャシー(Cathy)さんに対する思いが決断の決め手になったと明かした。

 71歳のファーガソン監督は、オールド・トラフォード(Old Trafford)での最終戦となったスウォンジー・シティ(Swansea City)戦に2-1で勝利し、26年以上にわたって指揮を執った本拠地での感動的な別れを堪能した。

 試合4日前の退任発表はサッカー界を揺るがしたが、ファーガソン監督はスウォンジー戦後の優勝セレモニーを終えて初めて、決断に至った理由を詳しく明かした。

 ファーガソン監督によれば、監督生活に終止符を打つことを決めたのは「去年のクリスマス頃だった」という。

「大きなところでは、キャシーの姉妹がこの世を去ったことで状況が変わった。キャシーは今大きな喪失感を感じていて、それに47年間、彼女は家族を引っ張り、息子3人の面倒を見て、私のために自分を犠牲にしてくれた」

「今は孫も何人かできて、皆キャシーによくなついているが、それでも一番の友人、つまり姉妹を亡くしたんだ。それが重要なことだった」

「それに私はいつも、勝者として去ることが大事だと思っている。クラブにとって勝利は非常に重要だ。私はずっと、そのことだけを考えてここで仕事をしてきた。勝者になるということをね」

 またファーガソン監督とマンチェスター・ユナイテッドは、退任の発表をスウォンジー戦の直前まで遅らせることを望んでいたが、クラブのゴルフ大会が行われた翌日の7日には、うわさがマンチェスター中に飛び交う事態となっていた。

 その点について監督は「ずっと隠しておくのはとても難しかった。身内に打ち明けてしまいそうになったことも何度かあった」とコメントした。

「息子たちに話したのは3月だが、(自分の)兄弟に伝えるのは7日の夜になった。まずは選手に伝えたかった。選手やスタッフにね。だが残念なことに7日にはうわさが広まってしまった。だから少し発表を前倒しする必要があった」

 スウォンジー戦でユナイテッドは、ハビエル・エルナンデス(Javier Hernandez)の得点で先制し、スウォンジーのミチュ(Miguel Perez Cuesta 'Michu')に同点ゴールを決められて迎えた後半42分、これまでファーガソン監督の目の前で何度も繰り返されてきた終了間際の劇的な得点シーンをなぞるかのように、リオ・ファーディナンド(Rio Ferdinand)が決勝点を挙げた。

 ファーガソン監督は、こうした終盤のドラマはサッカー監督の醍醐味の1つであり、それを味わえなくなるのが最も寂しいと笑顔を見せながらコメントした。

「終了間際のゴールが私は大好きなんだ。それで負けた試合もいくつかあるが、それも歴史の一部であることに変わりはない」

(c)AFP/Ian WHITTELL