【1月1日 AFP】1月の移籍市場が開くイングランド・プレミアリーグだが、欧州サッカー連盟(Union of European Football AssociationsUEFA)のファイナンシャル・フェアプレー(FFP)規定という監視の目と市場への魅力不足から、ビッグクラブは新戦力獲得に慎重になるものとみられる。

 移籍期間の到来は、監督にとってはシーズンも折り返し地点を過ぎて疲弊しつつあるチームに活力を取り戻すチャンスとなるが、近年はここでの買い物に成功したクラブはほとんどない。

 このところ特に多い冬の戦力補強の失敗だが、その原因は、5月のシーズン終了まで何とかして生き延びねばならないチームが考えなしに選手を獲得する点にある。しかしそうして獲得した選手は期待に応えられないケースが多かった。

 プレミアリーグ最大の補強失敗は2つあり、どちらも2011年1月の移籍市場で起こった。リバプール(Liverpool FC)は移籍後不発続きのフェルナンド・トーレス(Fernando Torres)を5000万ポンド(約70億円)でチェルシー(Chelsea)へ売却して抜け目なさを見せたが、一方でこちらも移籍後結果を残せなかったアンディ・キャロル(Andy Carroll)を3500万ポンド(当時約45億円)で獲得し、大きな無駄遣いをした。

 リバプールは同年の移籍市場で、現在プレミアで最高のフィニッシャーの1人であるルイス・スアレス(Luis Suarez)を手に入れた。しかし例年1月の補強を好まないマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)のアレックス・ファーガソン(Alex Ferguson)監督によれば、冬の移籍市場はビジネスをするにはふさわしくないという。

■ファーガソン監督は冬の移籍に否定的

 ファーガソン監督は12月初め、「1月の移籍市場で最高の補強をしたクラブはない。ここ数年は冬に大きな動きがないことがそれを証明している。大きな移籍は夏に起こるものだ」とコメントした。

 ユナイテッドは11-12シーズンの王者マンチェスター・シティ(Manchester City)に大きく勝ち点差をつけて首位に立っている。そのため指揮官も、現在の陣容には満足しており、今シーズンはやや不安定な状態の続く守備陣を別にすれば、気になる部分はほとんどないとコメントしている。

■ビッグクラブもほとんど動きは見られず

 となれば補強すべきは追いかける側だが、チームを改善したいシティのロベルト・マンチーニ(Roberto Mancini)監督にとっても状況は簡単ではない。

 シティはタイトルを獲得した11-12シーズン開幕前には大量の資金を使って新戦力を獲得したが、オーナーが収支のバランスを取ることを目指し始めたため、今シーズン開幕前は財布のひもを一気に締めた。

 一番の買い物はベンフィカ(Benfica)から1700万ポンド(約24億円)で獲得したとされる守備的MFのハビ・ガルシア(Javi Garcia)で、過去2シーズンにわたってオフシーズンに話題を提供してきた大型補強は今シーズンはなかった。

 チェルシーはかねてからアトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)の万能ストライカー、ラダメル・ファルカオ・ガルシア(Radamel Falcao Garcia)を狙っているとされるが、同選手の違約金は4800万ポンド(約67億円)に設定されているとも言われており、見え隠れするFFPの影が気になる状況となっている。

 アーセナル(Arsenal)も移籍市場を前に、気づけばいつも通りの守りの姿勢に入っている。テオ・ウォルコット(Theo Walcott)の契約延長交渉は行き詰まり、1月になれば他チームとの交渉を禁止するすべはないが、チームを率いるアーセン・ベンゲル(Arsene Wenger)監督は、このところ本人の希望するセンターフォワードでプレーさせるなどウォルコットの気持ちを傾かせ始めている。

 リバプールについては補強の動きがみられ、すでにチェルシーのダニエル・スターリッジ(Daniel Sturridge)の獲得間近とも言われている。(c)AFP/Tom Williams