【5月4日 AFP】英ロンドン(London)のウェンブリー・スタジアム(Wembley stadium)で5日に行われるイングランドのFAカップ2011-12(FA Cup 2011-12)決勝では、高額移籍金に見合う結果を残せていないチェルシー(Chelsea)のフェルナンド・トーレス(Fernando Torres)と、リバプール(Liverpool FC)のアンディー・キャロル(Andy Carroll)の活躍が見られるかもしれない。

 トーレスとキャロルは、10-11シーズンに成立した英国サッカー史上最も大規模な移籍取引に深く関わっている。移籍金5000万ポンド(当時約66億円)でトーレスをチェルシーに放出したリバプールは、ニューカッスル(Newcastle United)から移籍金3500万ポンド(当時約45億円)でキャロルを獲得した。

 高額移籍金で新天地に加入したトーレスとキャロルにとって、その値段は重荷のように見え、両者ともにしばらく得点を挙げられないほどのスランプに陥り、チームも不本意なシーズンを送っている。

 しかしながらウェンブリーでの決勝が近づくにつれ、トーレスとキャロルは復調の兆しを見せており、FAカップ決勝では獲得に多額の資金を費やしたクラブへの恩返しを果たす可能性がある。

■チェルシー移籍後に不振に陥ったトーレス、最近は復調の兆しを見せる
 
 つい数年前までは世界屈指のストライカーとして名が知られていたトーレスだが、チェルシーに加入してからは目も当てられないほどの不調に陥り、ゴール前ではイップスを発症したかのように見えるほど致命的なミスを連発した。

 無得点が約5か月間も続いたトーレスは、レスター・シティ(Leicester City)と対戦したFAカップの準々決勝で1541分ぶりの得点を記録すると、同試合で2得点を挙げる活躍を見せ、チームを5-2の勝利に導いた。

 その後、FCバルセロナ(FC Barcelona)との欧州チャンピオンズリーグ2011-12(UEFA Champions League 2011-12)準決勝第2戦に途中出場したトーレスは、かつてのような冷静なフィニッシュを見せ、チームに値千金のゴールをもたらした。

 FCバルセロナの本拠地カンプ・ノウ・スタジアム(Camp Nou stadium)でゴールを決めて自信を取り戻したトーレスは、下位に低迷するクイーンズ・パーク・レンジャーズ(Queens Park RangersQPR)と対戦したイングランド・プレミアリーグ第36節でハットトリックを達成している。

 それでも、チェルシーのロベルト・ディ・マッテオ(Roberto Di Matteo)監督は、クラブにとって重要な試合ではディディエ・ドログバ(Didier Drogba)に絶大な信頼を寄せており、復調を見せるトーレスに先発のチャンスが与えられるかどうかは定かではない。

 コートジボワール代表のドログバは、FAカップ決勝会場のウェンブリーで好成績を残しており、トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)との準決勝で先制点を挙げるなど、同会場で行われた7試合で7得点を記録している。

■クラブ史上最高額でリバプール加入のキャロル、決勝で真の復活なるか

 トーレスと同様に、クラブ史上最高額となる移籍金でリバプールに加入したキャロルは、ここまでコンスタントに結果を残していないことから、その価値が疑問視されている。

 しかしながら、エバートン(Everton)と対戦したFAカップ準決勝でキャロルは、1-1の同点で迎えた後半42分に決勝点を挙げており、チームを決勝進出に導いている。

 不振にあえぐキャロルを擁護し続けてきたリバプールのケニー・ダルグリッシュ(Kenny Dalglish)監督は、批判を浴びることで選手は成長するとの考えを示している。

 ダルグリッシュ監督は「誰でも一度は打ちのめされる。しかし、それは前進するために必要なものだ。誰にでも意見を述べる資格はるが、トッププレーヤーになりたければ自分の感情を抑えなければならない。批判を跳ね返し、復活を遂げるのはその一環だ」と語っている。(c)AFP/Rob Woollard