【6月26日 AFP】サッカーコンフェデレーションズカップ2013(Confederations Cup 2013)準決勝のウルグアイ戦を翌日に控えた25日、ブラジル代表のルイス・フェリペ・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)監督は、政治不信による混乱が拡大する中、ベロオリゾンテ(Belo Horizonte)で開催される一戦は、チームが同国民にモラルを示す絶好の機会だと語った。

 26日に行われる南米王者のウルグアイ戦をスコラーリ監督は、「ブラジル代表チームにとって正念場」と表現した。

「国を良くするために取り組んでいることは、この先も続けていけば決して無駄になることはない。互いに対立することなく、共により良い生活を追求していけば、私たちがこうあってほしいと待ち望んでいた国で生きていくことができる」

 ブラジルにおけるサッカーの重要性は誇張してもし過ぎるということはない。来年開催されるW杯ブラジル大会(2014 World Cup)に150億ドル(約1兆4600億円)規模の公金が投入され、医療、交通、教育といった公共サービスに予算が回らないことに反発する国民が多数に上ったとしても、依然としてW杯の母国開催を支持するファンは大多数を占める。

 汚職や低質な公共サービスに反発してこのところ相次いだ抗議デモへの参加者は150万人を超え、暴動に発展するケースもたびたび見られた。しかし、世論調査によると、国民の3分の2は今でもW杯開催を支持している。

■ブラジルはパウリーニョ、ダビド・ルイスが復帰

 ピッチ上では、守備的MFのパウリーニョ(Jose Paulo Bezerra Maciel Junior 'Paulinho')が戦列復帰することもあり、ブラジルには大会3連覇への期待が高まっている。準決勝でウルグアイに勝利すれば、30日の決勝でW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)覇者のスペインとイタリアの勝者と対戦する。

 22日にブラジルが白星を挙げたイタリア戦をパウリーニョは足首の故障のため欠場していた。

 その試合で足を負傷して途中交代したDFダビド・ルイス(David Luiz)も、次戦は先発に起用される見込みとなっている。

 前線にはネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)、フッキ(Hulk)に加えてフレッジ(Fred)が引き続きスリートップを構成する。

 イタリア戦で2ゴールを挙げるなど好調を極めるフレッジは準決勝に向けて、「試合が本当に楽しみでならない。ホームで戦っていることを実感している」と意気込みを語った。

■強力な前線で立ち向かうウルグアイ

 ブラジルは2001年に始まったスコラーリ監督第一次政権の初陣でウルグアイに敗戦を喫して以来、同対戦カードで黒星はない。また、同監督は翌2002年のW杯日韓大会(2002 World Cup)でブラジルを優勝に導いている。

 過去の対戦成績を通じてもブラジルが32勝19分け19敗と大きく水をあけているものの、ウルグアイはブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で開催された1950年のW杯決勝でブラジルを2-1で下し、両国間で最も大きな意味を持つ白星を手にしている。この一戦はブラジルにとって「マラカナンの悲劇」として語り継がれている。

 ウルグアイ代表を率いるオスカル・タバレス(Oscar Tabarez)監督は、「成績の上ではブラジルの数字にかなわない」とした上で、「サッカーの国際舞台において絶好の対戦カードを前にして気持ちが高まっている。南米サッカー界のフィエスタ(祝祭)となる試合にしたい」と展望を語った。

 開催国ブラジルには攻撃のオプションが豊富にあるが、それはウルグアイにとっても同様であり、ブラジルのGKジュリオ・セザール(Julio Cesar de Souza Santos)は、相手FW陣が本領を発揮してくれば防戦に徹するだろうとコメントしている。

 ウルグアイでは、エディンソン・カヴァーニ(Edinson Cavani)を始め、20日のナイジェリア戦では決勝点を決めると同時に代表として通算34ゴール目を記録したディエゴ・フォルラン(Diego Forlan)、さらにルイス・スアレス(Luis Suarez)といった強力FW陣がブラジルを震え上がらせようとしている。

 セザールは「攻撃力はとても高く、彼ら自身が試合を決める力を持っている」と警戒心をあらわにした。(c)AFP/Chris Wright