【6月20日 AFP】19日に行われたサッカーコンフェデレーションズカップ(Confederations Cup 2013)のブラジル対メキシコ戦で、英国人の審判ハワード・ウェブ(Howard Webb)氏が、試合前に行われたブラジル国歌のアカペラ合唱を聞いて「心を動かされた」と話したことを、ブラジル代表のルイス・フェリペ・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)監督が明かした。

 ブラジル・フォルタレーザ(Fortaleza)のカステラン・スタジアム(Castelao Stadium)で行われたこの試合は、1万5000人もの抗議者がスタジアムの外でデモを行う緊迫した状況の中開催された。

 ブラジルではここ数日各地でデモが勃発しており、公共交通料金の値上げや、このコンフェデレーションズカップと来年のW杯ブラジル大会(2014 World Cup)の開催費用に公的資金が流用されていることに対する抗議活動が行われてる。フォルタレーザではデモ隊と警官の小競り合いも報告された。

 そのような状況下で行われた試合の前の国歌斉唱の際、音楽がスピーカーから止んだ後も自然とブラジルのサポーターと選手は国歌をアカペラで歌い続け、スタジアムは情緒的な空気に包まれた。

ウェブ氏の反応についてスコラーリ監督は、「このようなことが起こるのを未だかつて見たことがないと言っていた。音楽が止まっても人々が歌い続けるなんて」と語った。

「彼は私に言った。『フェリペ、私は心が動かされたよ』と。英国人がそんなこと言うとは、よほどのことだよ」

「我々はフォルタレーザのサポーターの皆さんに感謝している。メキシコ代表は少しびっくりしていたが、あの国歌斉唱は私たちにとってやらなければいけないことだった」

 この試合でブラジルは2-0で勝利している。(c)AFP